福祉の現場で働き手が不足し、人材の確保が大きな課題となる中、関 連9団体でつくる福祉関係者共同集会実行委員会が5月18日、東京都内で「5・18福祉関係者共同フォーラム」を開いた。28都道府県から700人を超え る関係者が参加し、福祉の職場に人材が定着する労働条件の整備などに向けて、全国各地で活動を強めていくことを確認した。
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基調報告では、福祉関連の有効求人数が有効求職者数を大幅に上回りながらも、「募集しても集まらない」「次々と辞めていく」など、人材不足が深刻さを増し ている現状を指摘。こうした問題の背景には、正規職員でも月収が十数万円から20万円程度にすぎず、施設も介護保険制度の改正による報酬単価の切り下げな どで厳しい経営を強いられている実態があると訴えた。
続いて、現場からの問題提起があり、▽訪問介護やデイサービスを行う事業所で働く 職員のケースでは、フルタイムで週40時間働いても月収約13万円。雇用保険や社会保険にも未加入で、やりがいはあるものの将来が不安。自分以外の若い人 は入ってこない▽障害児施設に勤める職員の場合は、休日に行われる施設の行事への参加がボランティアとして扱われ、ほとんど休みが取れないほか、活動記録 やボランティアのコーディネート作業も時間外労働になっている▽登録ヘルパーでは、サービスの給付抑制が始まってから仕事が減り、他の仕事を掛け持ちしな いと生活が成り立たない-などの実態が明らかにされた。
会場からは、「毎月350時間前後の勤務を強いられているが、時給は600円程度で、辞めていく人が多い。利用者との信頼関係を築くには時間を要するだけに、福祉の現場で長く働き続けられるようにすることが重要な課題だ」と、施設で働く20歳代の男性が主張した。
この後、参加者は「高齢者、障害者、子どもたちの命と生活、発達をつなぐ福祉の仕事に携わる人材の確保のために、国や自治体が職員の賃金や労働条件の抜本 的な改善につながる施策を進めるように強く求める」などとするアピールを採択。▽国民生活を支える公的福祉の再生▽福祉職場に人材が確保・定着できる労働 条件▽福祉の利用者負担の大幅な引き下げ▽利用者の権利を守る十分な職員配置と経営の安定-の4点を要求に掲げ、都心をパレードした。
フォーラムでは、NHK解説委員の鎌田靖氏が「ワーキング・プアを考える」と題して記念講演し、構造的な問題になっているワーキング・プアについての現状や解決の仕組みなどを語った。
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