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5月19日、日本とインドネシアは、ジャカルタでおこなわれた経済連携協定(EPA)の会合で、インドネシア人の看護師と介護福祉士を、日本が2年間で1000人受け入れる覚書に調印した。医療・福祉分野で本格的に外国人労働者を受け入れるのは初めて。
EPAとは、農産物や工業品の関税を削減、撤廃する貿易自由化のほか、労働力の送り出しや受け入れなど、幅広く二国間の経済関係を強化する取り決めのこ とだ。日本は今回のインドネシアをはじめ、フィリピン、タイなど9カ国、また地域と署名を交わしている。医療・介護分野では、ほかにベトナムが看護師の受 け入れを、タイが介護士の受け入れを求めている。
日本は現在、外国人労働者については、単純労働者は受け入れておらず、専門的・技術的分野の労働者に限ってのみ門戸を開いている。厚生労働省の推計によ ると、こうした外国人就労者は、外国人研修制度や技能実習制度の利用者を含めて、現在約19万人。今回インドネシアからは、初年度、看護師が最大200 人、介護士が300人来日する予定となっている。ただし看護師で、「母国の資格を持ち、2年以上の経験があり、来日後3年以内(介護士は4年以内)に国家 試験に合格して日本の資格を取る」ことが条件。また、資格を取れば引き続き日本で働けるが、それでも7年後には帰国させるという厳しいものだ。
インドネシア側は海外労働者派遣・保護庁、日本側は国際厚生事業団が仲介役となって勤務先を決め、7月17日までに雇用契約を結ぶことにしている。日本の受け入れ施設は、入国後、6カ月の日本語研修のための賛助金など、1人あたり約60万円の経費を負担する。
医療・福祉分野での外国人労働者の受け入れの背景には、深刻化する人手不足がある。厚労省の推計によると、目下、看護師は3万7000人が不足してお り、介護職員は04年から10年間で、あらたに40~60万人必要だといわれているが、約200万人いる介護職員のうち、仕事が過酷なために1年で20% 強が離職しているのが現状だ。
受け入れは決まったが、待遇面など解決すべき課題も多い。インドネシア側には、すでに経験があるのに、来日してから助手扱いという不満がある。また交渉 の場で、給与について「月額で看護師20万円以上、介護士17万5000円以上」との希望を提示したが、日本側は「希望額として伝える」ことでとどまっ た。いっぽう、受け入れる日本側にも、インドネシア人の看護師・介護士は、受け入れ施設の「配置基準」に算入されず、職員としてカウントされないなど、施 設にとってのメリットが少ない点を問題視する関係者も多く、今後の検討課題となっている。
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