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工業をはじめ地域の産業を観光資源としてとらえる「産業観光」の試みが本格化してきた。先進地として注目されるのが“ものづくり王国”ともいわれる中部 地域だ。自動車造りや焼き物の魅力が実感できる見学施設がめじろ押し。地域振興とともに、子どもにものづくりの現場を理解させ、人材育成につなげる狙いも ある。
≪現場理解へ見学施設≫
約100年前の赤れんが造りの工場を博物館に変えたのが、トヨタグループの歴史を紹介する「産業技術記念館」(名古屋市西区)。名古屋駅からも近く、今や年間25万人以上が訪れる観光スポットになった。
随時イベントも開かれ、5月10日にあった自動車エンジンを解体して組み立て直す親子向けセミナーには20人が参加。慣れない手つきでレンチを握った中学2年の男子生徒(13)は「エンジンが多くの部品でできているのを知って驚いた」と目を輝かせた。
トヨタ自動車の工場見学も人気だ。昨年は4工場で約20万人を受け入れ、そのうち約4万人は海外からの訪問者。ドイツから来て堤工場(愛知県豊 田市)を見たゲラルト・ジーベルトさん(41)は「製品の最終確認に多くの人がかかわることで、品質の高さが実現できていることが分かった」と興奮気味に 語った。
美濃焼で有名な岐阜県多治見市で多くの陶芸ファンを魅了するのが「岐阜県現代陶芸美術館」。
国内外の陶芸品約900点を所蔵し企画展も年数回開く。榎本徹館長(61)は「陶芸家を目指す若い人たちにぜひ見てもらいたい」と語る。今年4月には、茨城、兵庫など計6県の陶磁器関連の美術館でネットワークを発足。共同企画展を予定するなど意欲的だ。
≪「地味」系は集客苦戦≫
ただ伝統産業は地味なものが多く、この種の施設は集客が大きな課題だ。採算も厳しく、陶芸美術館も企画展ごとに赤字を出すという。
刃物産業が有名な岐阜県関市。包丁の安売りなどを目玉にした昨年10月の「刃物まつり」は、2日間で約25万人を集めたが、刃物産業の紹介施設 「関鍛冶(かじ)伝承館」の年間入場者数は約1万5000人(2007年)にすぎない。市の関係者は「刃物産業は万人受けするものではなく、イベントがな い時は厳しい」と本音を漏らす。
「産業観光のビジネスモデルを確立する必要がある」と指摘するのは、この分野に詳しいJR東海の須田寛相談役(77)。既存の観光地と産業観光施設の連携など客を増やす工夫を求めている。
須田氏は「トヨタの産業技術記念館に通っていた子供がエンジニアになったという話もある。産業観光の教育効果は大きい」と強調。産業観光は、今後もますます盛んになるとみている。
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2008-05-28
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