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□ベトナム住友商事社長 高山俊朗氏
■立地・低賃金に世界注目
東南アジアの新たな成長エンジンとして注目を集めるベトナム。2007年の経済成長率は8・48%に達する。海外投資は拡大傾向で、人口8500万人の市場を狙った投資も活発化している。ベトナム住友商事の高山俊朗社長に同国市場をめぐる動きを聞いた。(坂本一之)
--海外からのベトナム投資は増えていますか
「(中国への一極集中投資のリスクを分散する)『チャイナプラスワン』でベトナムに投資するという動きは確かにある。日系メーカーの話を聞いても『中国以外に製造拠点を持つ』ということでベトナムを選んでいる」
「近年、ハノイを中心とする北部は大型投資が目立っている。すでに北部にはトヨタ自動車、ホンダ、キヤノン、パナソニックなどが拠点を持ち部品などの関 連企業が進出している。その関連企業の取引を見込んで新たな企業が進出するという循環がある。ベトナムへの進出は今後も続くだろう。そして、投資に伴う経 済成長も続くとみている」
--経済成長鈍化を指摘する声もあります
「ここにきてインフレ傾向が出てきているが、7%ぐらいの経済成長は達成できるだろう。エネルギーやコメの輸出国であることも大きい。だが、 7~8%の経済成長に向けた課題はインフレ以外にもある。インフラ拡充と法制度の整備だ。ベトナム政府が道路、港、電力の3点に集中投資しなければ成長が 停滞する懸念がある。政府もすでに問題を認識し、対応を始めているが、もう少し加速した方がいいだろう」
「ベトナムは07年1月に世界貿易機関(WTO)に加盟し市場開放を約束をした。法整備による規制緩和はさらに進められるべきだろう。ベトナムは日米以外にも韓国や台湾、欧州、中近東なども投資先として注目している」
--ベトナム投資の優位点は
「政情が安定している点だ。議論も民主的に進められる。道路を新設する場合もきちんと地権者の合意を得る。時間はかかるが民主的だ。ベトナム政 府はまだ外資の市場参入を受け入れる方針で自国産業を守るための外資締め出しはやっていない。地理的にも海に面し、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域 への供給拠点になる。最低賃金が低い。ただ、賃金だけで投資を決めるような時代ではない」
--問題点はありませんか
「中間管理職の人材が不足している。さらに、会計、税務などの専門家の人数も絶対数として足りない。日本から専門家を連れてくるとコストがかかる。また、規制はすべてベトナム語で書かれているため文章の解釈力のある現地人材が必要だ」
--主要産業の進出状況は
「南部のホーチミンは食品、繊維などが多い。北部は輸出を視野に入れたOA機器などだ。海外投資では最近、韓国のサムスン電子が携帯電話の工場建設を計画するほか、インド企業による鉄鋼プロジェクトなど大型投資案件が相次いでいる」
--ベトナム住友商事はどんな戦略を描いていますか
「貿易と投資の2本柱だ。ベトナムの資源を輸出し、日本から機械類などを輸入する事業を展開している。貿易と並行して投資部門を大きく拡大して いきたい。投資事業ではベトナムに進出する日系企業への支援事業や、発電や鉄道などのインフラ関連事業への投資を積極的に行っていく考えだ。金融関連事業 にも注目している。所得が上昇し商機が広がっている。8500万人市場をめぐるビジネスが本格化する」
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