2008-05-19

ホームヘルパー:人手不足、深刻な介護現場 フィリピン人ヘルパー奮闘中 /新潟

:::引用:::

◇対応丁寧、明るさ魅力

 ◇三条の人材派遣会社、養成講座と就労支援

 人手不足が深刻な介護現場で、県内の在日フィリピン人が働き始めている。ホームヘルパー2級の養成講座を開設し、卒業生の就労を支援するのは、三 条市の人材派遣会社「ピーエムシー」。経済連携協定(EPA)による外国人介護福祉士の受け入れを控え、先駆的な取り組みとして注目されている。【黒田阿 紗子】

 「はーい、お水ですよ」

 三条市長野の介護老人保健施設「いっぷく」。在日フィリピン人のジーン・セネガルさん(34)が口元にコップを運ぶと、言葉で意思表示ができない入所者の女性が、ふっとほおを緩ませた。

 今年4月、施設で初めての外国人職員として採用された。同僚の介護係長、飯塚貴之さん(29)は「とにかく前向きで、入所者にも人気。彼女がいるだけで場が明るくなる」と目を見張る。

 ジーンさんは14年前、20歳年上の日本人との結婚を機に来日。2人の娘を持ち、日本語も滑らかだ。飲食店や工場のアルバイトを転々としたが、友 人の紹介で「ピーエムシー」の谷晴夫社長(54)と出会い、「実の親の面倒がみられない代わりに、日本のお年寄りの力になりたい」と介護の勉強を始めた。

 谷社長は「大家族の中で育ち高齢者を大切にする文化と、明るい国民性は介護職にぴったり」とフィリピン人の適性を見込んで昨年9月、外国人向けと しては県内初のヘルパー養成講座を開講した。ジーンさんら1期生のうち5人が、同社の派遣社員として今春から介護現場で働く。長岡市や上越市などの2期生 の養成や、新潟市を中心とした3期生の募集も順調だ。

 日本がインドネシア、フィリピンと結んだEPAに基づき、年内にもインドネシアから看護師・介護福祉士の候補者が来日するとみられている。谷社長 は「県内の介護現場で、これから来日する外国人のリーダー的存在を育てたい」と話す。介護福祉士の国家資格取得を支援できるよう、3期生が卒業する今秋に もNPO法人を発足するつもりだ。

 課題もある。ジーンさんは漢字が苦手。入所者の様子を引き継ぐ情報ノートの読み書きが難しく、同僚の協力体制は欠かせない。また、入所者の反応などを心配し、外国人採用に否定的な介護施設も少なくない。

 だが「いっぷく」の五十嵐信行事務長は「入所者と丁寧に向き合うジーンさんの人柄を買って採用した。人材難の中、外国人だからと尻込みするのはもったいない」と話す。

 ジーンさんは「介護福祉士の資格をとって、一生の仕事にしたい。私たちががんばることで、たくさんの仲間が受け入れられるようになれば」と力を込めた。


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