外国人研修・技能実習制度で来日した中国人女性3人は、阿蘇市のトマト農家や社団法人「県国際農業交流協会」などに未払い賃金などの支払いを求めて熊本地裁に提訴した9日、「裁判を通して違法労働を被告の農家などに認めさせたい」と口々に訴えた。原告は、山東省出身の馮桂芹さん(31)、慧玲さん(22)、夏暁明さん(22)。3人によると、中国の送り出し機関に約80万円を支払い、約3 か月の日本語研修などを受けて2006年4月に来日した。1年間は研修生として働き、2年目からは実習生として阿蘇市のトマト農家で今年1月まで働いた。
提訴後、県弁護士会館(熊本市)で記者会見した馮さんは、「トマト農家では休日もほとんどなく、体調を崩しても早朝から夜遅くまで働かされた。冬 の農閑期には別の農家に『研修生を貸してあげますよ』というように派遣され、まるで農具のように扱われた」と目頭を押さえた。夏さんは「疲れてヘトヘトに なると『やる気がないなら中国に帰れ、ほかに代わりの人はいる』と脅された。勝つまで裁判をやり抜く」と憤りを隠さなかった。
支援者らは、提訴前の門前集会では、「私たちは農具じゃない」と書かれた横断幕を掲げた。昨年12月に天草市の縫製会社などを相手に同様の訴えを起こした谷美娟さん(20)らも駆けつけ、「励まし合い、実習生がきちんと働けるようにしたい」とエールを送った。
訴訟代理人の村上雅人弁護士は記者会見で、「裁判を通して制度を利用した人権侵害を認定してもらい、研修生・実習生の権利の保護につなげていきたい」と述べた。
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実習生らは提訴後、受け入れ機関の社団法人「県国際交流協会」の実態調査などを行うよう県に申し入れた。
協会は、県出身の海外農業研修経験者で組織する県国際農友会を母体として1990年に設立された。県は年間約20万円の補助金を出している。
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