2008-10-02

無責任感”が漂うソフト開発の現場

:::引用:::
6割の企業が「オープンソース技術者が足りない」

 技術仕様を無償公開するオープンソースソフトウエア(OSS)を使って、システムを開発するケースが増えている。特定のベンダーに依存せず、開発 コストを抑えられるためだ。しかし、技術者不足は否めない。独立行政法人の情報処理推進機構(IPA)が2008年1月に発表した調査報告書では、技術者 のうち5人に1人がOSSに精通している。それでも「顧客向けシステムでのOSS利用実績が多い」企業でも59.5%が、技術者が不足しているとの認識を 示した。「OSSの利用実績は少ない」企業になると、それは62.9%に高まる。

 汚染米の流通拡散に関して、痛ましい犠牲者が出たのは記憶に新しい。先月半ば、汚染米の流通先として公表された販売会社の経営者が、責任を取って自殺したのだ。海外出張先で開いた日本のウェブサイトを見て知ったこのニュースに、私は少しばかり複雑な思いを抱いた。

 そもそも、腹立たしい事件である。一連の食品偽装は問題視であるとはいえ、それでも「食べてもいいが食べない方がいいもの」や「食べられるが、本 来の産地ではないもの」を取り扱っていた。しかし今回は「食べてはいけないもの」を確信犯的に流通させている。実際、立件されている容疑も、偽装の方は不 正競争防止法が中心だったのに対し、今回の場合、食品衛生法はもちろん、詐欺罪も視野に入っていると聞く。悪質なことこの上ない。

 しかも、消費者に迷惑をかけているというだけでなく、汚染米を原材料とする商品を作ってしまった生産者や流通事業者にも影響は及んでいる。前述の 痛ましい事件をはじめ、大切に仕込んだ焼酎を全部廃棄しなければいけない酒造メーカーなど、打撃を被っている方々はあちこちおられるだろう。

 自らのせいではないにせよ、結果的に汚染米を流通させてしまった責任。あるいはそれが発覚したことによる、今後の経営に対する強烈な不安。多くの 中間事業者の方々は、おそらくこうした状況に置かれていることだろう。自殺者が出てしまったのも、この延長線上にある。お気持ちは察してあまりあるし、私 はそうした方々を責めるつもりはもちろんない。

自社製品の不具合に「瑕疵はなし」?

 こんな緊張感の高い世界が存在する一方で、どうにものんびりとした空気の漂う世界もある。一部システムベンダーによるオープンソースソフトウエア(OSS)の取扱いだ。

 OSSは、ソフトの基本となるソースコード(プログラム群)を、文字通りオープン(一般に公開)したもの。代表的な存在がLinux(リナック ス)だ。ソフトの開発を第3者に委ねることで、そのスピードや多様性、継続性を確保しようという概念が根底にはある。広く公開するので、ソフトそのもので 儲けることは困難だが、周辺のコミュニティ(ソフト導入支援、開発者やユーザー向けの書籍などの情報流通)などでエコノミーが形成される。

 インターネットの普及とともに、その開発スタイルは一般化してきている。例えば、ソニーをはじめ、日本の家電メーカー・携帯機器メーカーは、自社製品の組込システムのOSとしてLinuxを多数採用している。

 その一方で、某組織でCIO(最高情報責任者)を務める知人から、先日こんな話を聞いた。少し前、彼が属する組織で、オフィス文書の印刷に関する システムを導入した。しばらくしてシステムトラブルが発生。とにかく今日のホワイトカラーにとって、プリンターの故障は業務の停滞を意味する。彼は情報シ ステム部に指示し、すぐにベンダーを呼んだ。

 ほどなくしてメンテナンスのチームが到着し、あれこれチェックをしていると、どうやら内部のソフトウェアに関する問題だったらしい。ハードウェア なら交換で対応できるが、これはいささか厄介だ。どの程度の作業で改修できるのか、すぐさま担当者に尋ねてみた。返ってきた回答は、「OSSなので、サ ポートの対応範囲外です。こちらに瑕疵はありません。」


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