【莱陽(中国山東省)=平岩勇司】殺虫剤ジクロルボスが検出された冷凍インゲンの製造元、煙台北海食品(山東省煙台市莱陽)には15日、輸入元のニチレイフーズ社員が訪れたほか、同市検疫局や公安とみられる関係者らが立ち入り調査を始めた。現時点で原因は不明だが、中国製食品をめぐる問題がまた起きたことで、関係者は対応に追われた。
同社の藍明徳社長はこの日、生産の一時停止で人けの少ない工場の正門に数回出向き、日本の取材陣に「私たちが生産した食品で体を壊した被害者に申し訳ない。ニチレイフーズに全資料を提供し、合同で調査する」と遺憾の意を表明し、同日付ですべての製品の包装と出荷を停止する考えを明らかにした。
「農場と工場ではジクロルボスを使用していない。混入は考えにくい」と日本語で説明。同時に日本側の反発を招かないよう配慮する発言を続けた。
同社社員によると、作業員は消毒した制服を着て野菜を洗浄、加工し、金属探知機で検査後に製品を袋詰めする。複数の品質管理者や監視カメラで異常をチェックしており、「混入はあり得ない」と言う。
ただ、中国ではジクロルボスは安価で効力が強いため、農村や町工場で使われることが多い。山東省では2月、煙台市に近い威海市の地元食品会社が日本向けに加工したしめさばからもジクロルボスが検出されている。
日本向け食品加工にかかわる煙台市の中国人業者は「製造工程はクリーンでも、ネズミの出る冷凍庫や工場外のトイレなどで殺虫剤を使う可能性は否定できない。私たちも工場周辺の敷地をチェックしている」と明かす。
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