外国人研修・技能実習生制度を利用し、福井市が受け入れているインドネシア人漁業研修生2人が行方不明になっていることが7日、わかった。同市の受 け入れ体制の不備は市民団体が再三指摘していた。記者会見した市農林水産部の多田和正部長は「血税を使ってこういうことになって申し訳ない。トラブルは聞 いていないが、管理責任は感じている。無事保護されることを願っている」と陳謝した。
市によると、行方不明になっているのはいずれも男性のムザキルさん(24)とソパン・ハリさん(22)。2人は他の7人とともに、カツオ一本釣り の研修生として、同市が1次受け入れ機関となり昨年10月に来日。同年12月中旬から、2次受け入れ機関の協議会に加入する船主のもとで研修していた。
2人が行方不明になったのは今月5日。夕方に船主が食材を差し入れるため、寝泊まりしていた船内を訪れたところ、いなかった。研修手当が振り込ま れる2人の口座からは、5月分の手当4万5000円がそれぞれ引き出されており、船内には個人の所有物も残っていなかったという。
一方、市が協議会側から連絡を受けたのは7日朝。行方不明になってから1日以上経過していた。市は「連絡体制は確立していたつもりだったが、時間がかかったのは反省点」と釈明した。
外国人研修生、実習生の失そう者数は、法務省入国管理局が把握しているだけでも、06年の1年間で2201人に上る。多田部長は「状況からすると失そうした可能性もあるが、現時点では断定できない」と説明した。
同市が受け入れるインドネシア人漁業研修生を巡っては、市側に通訳がいないなど受け入れ体制が整っていないとして、市民団体「外国人研修生権利 ネット福井」が今年2月、管理態勢の説明を求める公開質問状を提出していた。同ネットの高原一郎事務局長は「市の体制には不備があり、問題が起こるという ことは再三指摘してきた。初めからこうなることは予想できた」と話している。【松井聡】
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■ことば
◇漁業研修生
外国人研修・技能実習制度の一環で、93年に受け入れ開始。職種は漁船漁業のみで、カツオ一本釣りなど7作業が対象。研修期間は1年で、試験に合 格すればさらに2年の技能実習が認められる。漁業は他の職種に比べ危険性が高いことなどから、法務省は1次受け入れ機関を市町村に限定している。
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