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文部科学省がこのほど発表した2009(平成21)年度学校基本調査で、4年制大学の進学率が初めて50%を超えたことがわかりました。もちろん数字の上での話ですから、昨年度と何かが急に変わるわけではありません。しかし、「大学」に進学する意味を改めて見つめ直す、よいきっかけになるのではないでしょうか。
大学は、ほんの10年前(1999<平成11>年度)には進学率が38.2%と、3人に一人が進学していただけでした。それが10年で12.0ポイント増、2人に一人が進学するまでになったのです。もちろん、それまで短大に進学していた人が4年制にシフトした面もあるのですが、大学と短大を合わせた進学率も増加しています(1999<平成11>年度49.1%→2009<同21>年度56.2%)。ちなみに、25年前(1984<昭和59>年度)には4 年制大学進学率が24.8%と4人に一人、短大を合わせても35.6%と3人に一人程度でしたから、親御さんの世代のような「大学」のイメージで語れないことは明らかです。50%と言えば、1954(昭和29)年度の高校進学率(通信制を除く)とほぼ同じです。今や4年制大学に進学するというのは、おじいさんやおばあさんの時代に新制高校に進学するのと同じような状況である、と言ったら言い過ぎでしょうか。
今年度の4年制大学の志願者は約66万6,900人、入学者は約60万8,700人でしたから、6万人近くが入学しなかった計算になります。しかし一方で、日本私立学校振興・共済事業団の調べによると、今春、私立大学の半数近い46.5%が定員割れを起こしています。実質的には既に、えり好みしなければどこかには入れる「大学全入時代」に突入しているわけです。
25年前、大学・短大の浪人の数は20万人を超えていました。それが、2009(平成21)年度は約8万5,400人と、半数以下に縮小しています。しかも、難関大学の入学定員は増えることはあっても、減ったという話は聞きません。昔に比べれば、ずっと競争が緩和されていることは間違いありません。大学生の学力低下が指摘されていますが、入学定員と志願者の推移を考えれば、ある意味で当然だと言えるでしょう。
つまり、中央教育審議会の答申が指摘するように、もう受験競争だけでは、大学の「質」を維持することはできなくなっているのです。学生の側から見れば、大学に行ったからといって、世間は昔のような目で≪大卒≫を見てくれません。大卒就職率が70%を割ったのも、昨今の不況のせいばかりとは言えないでしょう。
重要なのは、大学に入って何を学び、どういう力をつけるかにあります。そして、大学に入ってから伸びる力を備えておくことも、受験勉強に負けず劣らず重要なことだと言えるでしょう。大学も近年、社会に出てから役に立つ力を育てるための教育にシフトしつつあります。そんな大学教育の変化に対応するためには、高校の教育も変わっていかなければならないことは必然のように思えます。
(提供:Benesse教育情報サイト)
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2009-09-09
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