2009-09-25

就職へ日本語力磨く

:::引用:::
●豊田市とNPO「中級」教室

日系人ら26人 熱心に学ぶ

 南米出身を中心に多くの外国籍市民が住む豊田市と、同市で外国人の子どもの教育支援に取り組んできたNPO法人「トルシーダ」が協力し、今月から失業した外国人らの再就職に役立つ中級日本語教室を始めた。雇用状況の悪化に歯止めがかからないなか、失業中の外国籍市民らが集まり、熱心に日本語学習に取り組んでいる。(黄澈)

 「漢字の上についている部分は『カンムリ』といいます。カンムリは王様が頭にかぶるクラウンのこと。だから、上につくんです――」
 水曜日の午後7時、豊田市若宮町1丁目の商業ビルにある市就労支援室の会議室で、日本語教室が始まった。講師を務めるのは、日本語指導の資格を持つトルシーダの会員。教室の外国人市民からは活発な質問が飛んだ。
 昨年秋以降の世界同時不況で、トヨタ自動車を始めとする製造業が集積している豊田市は大きな影響を受けた。同市には、日系ブラジル人を中心とする外国籍市民約1万6千人が暮らし、多くが非正規労働者として自動車部品工場などで働いてきたが、職を失う人が続出した。
 その再就職の壁となってきたのが日本語能力だ。不況で採用を控える企業側が、日本語での意思疎通が不得意な外国人労働者の採用に慎重になり、職探しは厳しさを増している。
 こうした状況に対応しようと、豊田市では今年に入り、市国際交流協会などが日本語の入門講座や初級教室に取り組んできた。外国人の就労支援に取り組む市産業労政課は「さらに中級以上の日本語を学びたい外国人も多いはず」と判断。外国人が集住する市内の保見団地で、公立学校に通わない外国人児童に日本語を教えているトルシーダに協力を呼びかけ、6月下旬から準備を進めてきた。
 教室は今月2日にスタート。毎週、月、水、金曜日の3回、午後7時から8時半まで開く。「応募は20人程度」との予想を上回り、現在、南米出身の26人が学んでいる。受講者は教材費として7千円を負担している。
 ブラジル国籍で三好町に住む日系3世の男性(37)は、2月まで自動車部品工場で働いたが、「派遣切り」で失業した。「言葉ができないと、面接もしてもらえない。きちんと勉強し、何とか仕事に就きたい」と意欲を燃やす。豊田市在住で市内の企業でアルバイトをするブラジル国籍の女性(38)は「正社員になるには日本語が必要だと考え、通い始めた」と話す。
 トルシーダの伊東浄江代表によると、受講者は非常に熱心で、夜間の教室にもかかわらず、欠席もほとんどないという。伊東代表は「受講生には、教室での学習を何とか就職に結びつけてほしい。同時に、新聞やテレビの報道を理解できる能力を身につけてもらい、地域のブラジル人コミュニティーに正確な情報を伝えられる人材になってほしい」と期待している。
 教室は来年3月まで、2期に分けて実施する予定だ。
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