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ベトナム政府は、国営企業の民営化計画を推進しており、2007年―10年の間に1500の国営企業の経営システムの再構築に手をつけ、1500社の内 900社を株式会社化する計画を立て、暗中模索しながらも実行してきた。対象とされている国営企業には、7つの大手企業グループ(造船、石炭鉱産、電力など)、88の総公社、商業銀行3行、国家資本投資会社(SCIC)などが含まれている。
しかしながら、07年、08年で株式会社化された国営企業は、わずかに155社にとどまっており、このままでいけば10年までの民営化計画は事実上達成できないであろうと、VietStock紙は報じている。09年上期に株式会社化された国営企業も20社にとどまっている状況だ。計画投資省によれば、09年下期も株式会社化はあまり進展せず、株式会社化の実施が予定されている国営企業数は40社ほどであると言う。
ベトナムでの国営企業の民営化が計画通りに進展しない原因は、対象となっている国営企業の幹部や労働者の間に、「民営化によって既得権益が大きく阻害される」という意識が根強いことと、国営企業の保有する土地の権利の評価が非常に難しいということが挙げられている。さらに、昨年後半からは、世界同時不況や国内の経済減速によってIPO(国営企業の株式会社化に伴う一般へのオークション形式での株式の売り出し)価格が低迷していることも大きく影響している。
国営企業の計画通りに民営化が進展していないことを問題視する意見もあるが、現地では、「経済状況が厳しい現段階では、計画通りに国営企業を株式会社化し、不当に安い価格で株式を売り出すことは避けるべきだ。株式会社化そのものが目的ではなく、株式会社化は国営企業の経営システムの再構築による経営効率の向上や競争力の強化のはずだ。」という真っ当な意見が多く聞かれる。社会主義国ベトナムの方が、意外と目的を意識した現実的な対応が行われているのかもしれないし、このあたりにベトナム流の「したたかさ」の片鱗も垣間見られるような気もしてくる。民主主義、資本主義を標榜する日本が、これからどういった現実的な、目的を意識した対応をしていくのか、ベトナムでも注目されている。(執筆者:福森哲也・ティンベトコンサルティング取締役会会長)
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