2009-09-09

失職の外国人 介護に活路 スキンシップ得意、評判上々

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 派遣切りなどで職を失った静岡県内の外国人が、老人ホームや介護施設に再就職するケースが増えてきた。言語のハンディはあるが、まじめな働きぶりで評判は上々。人手不足に悩む介護現場の新しい担い手となれるのか、熱い視線が集まる。 (報道部・原田遼)

 カップのスープをかきまぜ、お年寄りの口にゆっくりスプーンを運ぶ。「熱いから気を付けてね」。掛川市の有料老人ホーム「ケア・ホームぬくとんぼ」の食事時間。ブラジル国籍のヘルパー、青木アメリア・サユリさん(45)=袋井市=が掛ける声はやさしい。

 「機械ではなく、人が相手のこの仕事は楽しい」。来日して15年がたった昨年12月、袋井市の楽器関連工場で派遣切りに遭ったのが転機だった。

 夫の給料だけでは2人の子どもを養えない。介護職に行き場を求め、浜松国際交流協会(HICE)が主催する外国人対象の介護セミナーに通った。その間、家では漢字の学習を継続。「とにかく起きている間はずっと勉強した」

 今年4月に今の施設に再就職。働きながら勉強を続け、7月に介護ヘルパー二級資格を取得した。入浴、排せつ、食事など一連の補助業務をこなし、報告書は辞書を片手に漢字で書き上げる。

 施設の向川明弘オーナー(52)は「当初は高齢者と会話ができるか、不安はあった」と打ち明けるが、「日本人と変わらぬ働きぶり。まじめで同僚にいい刺激を与えている」と評価する。

 利用者の女性(89)も「若いのに仕事が速い。怒った姿も見たことがない」と好印象のようだ。

 青木さんが通ったセミナーを企画したHICEの堀永乃日本語コーディネーター(33)は「スキンシップの得意な外国人は人の体を触ることに抵抗がないし、何より明るい」と強みを語る。青木さんと同時期のセミナーでは30人の受講生のうち13人が介護職で再就職を果たしており、堀さんは「就職先からの評判はすごくいい」と明かす。

 この不況にあっても、介護職は敬遠されているのが現状。静岡労働局によると、7月の県の有効求人倍率は0・38と全国平均を下回る一方、介護関連職では1・50に跳ね上がり、雇用のミスマッチは深刻だ。

 社会問題にもなっている人手不足の解消策として、労働意欲のある外国人に期待する声もある。全国有料老人ホーム協会の五十嵐さち子事務局次長(61)は「まだ外国人に抵抗がある施設管理者や利用者もいるが、実績が積もれば受け皿も広がっていくはず」と展望を語った。

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