2009-03-19

【IT立国実現へ】(1)IT技術者を育成広がる産官学の輪

:::引用:::
産経
 プログラマーやSE(システム・エンジニア)など、人材不足が懸念されるIT関連技術者の確保に向け、経済界や政府による人材育成プログラムが本格的に動き出した。日本経団連は、国内の大学に企業の技術者を派遣する取り組みを開始。総務省もインターネットを介した遠隔教育システムの開発に乗り出す。日本の競争力強化にはIT分野における人材育成が不可欠となっており、産官学による育成の輪が広がってきた。

■人材不足を懸念

 情報処理推進機構(IPA)の調査によると、従業員1001人以上の企業の約95%が、IT人材が不足していると回答している。

 経団連は文部科学省と協力し、平成19年度から筑波大学と九州大学に企業のIT技術者派遣を始めた。学生にビジネスの現場で必要とされる実践的な専門知識を教える教育課程を設け、今月末には両大学合わせて約50人に及ぶ初の修了生が誕生する。現在は付随的な教育課程の位置づけだが、大学や学生から評価は高く、両大学では来年度以降、専修課程への変更も検討している。
 また、政府のIT戦略本部(本部長・麻生太郎首相)が2日に打ち出した「三カ年緊急プラン」においても、プランの柱として「IT人材の育成」が盛り込まれている。この中で、企業で求められる実践的能力を持つIT人材を、大学院などの教育機関で育てる仕組みを産官学が連携して構築していくことが目標として掲げられている。

 経団連や政府がITに関する人材育成を本格化している背景には、新卒者の技術レベルの低下や、IT分野に対する学生の興味の減退などへの懸念がある。

 例えば世界各国で事業を展開する国際的なIT企業では、新卒採用学生に世界共通のカリキュラムで知識や技術を教えることが一般的だが、日本だけは別コースを設けるケースが多い。日本の大学では「コンピューターの動作原理などは学べても、それを社会でどう活用するかなど実践的な知識を学べる機会が極めて少ない」(経団連の重木昭信・高度情報通信人材育成部会長)ため、海外の学生と比較して日本の学生は就職した時点での実力が大きく人材不足のもう一つの理由が、「就業時間が不規則」といったIT技術者の勤務に対するマイナスイメージだ。実際、日本では顧客企業ごとに専用のソフトやシステムを開発するケースが多く、顧客企業の要請に応じ、技術者が不規則な勤務をすることが少なくなかった。

 しかし、こうした状況を少しでも改善しようと、業界では本格的に動き始めている。

 例えば、法人向けシステムを構築する場合、発注側の意向と、実際に開発されるシステムに齟齬(そご)が起きないように、仕様書の記載方法を標準化する「形式記述方式」と呼ばれる方式の採用が進んでいる。この方式を利用すれば、完成したシステムが発注側の意に沿わずに何度も作り直す事態を避けられ、技術者の負担を軽減できると期待される。

 勤務体系も変わってきている。SI(システムインテグレーション)業界国内最大手のNTTデータでは、在宅勤務制度の全社導入など、IT技術者が働きやすい環境づくりの取り組みを強化しており、時間・場所にとらわれない自由なワークスタイルの確立を目指している。

 経済環境が厳しさを増すなか、企業は一層高い競争力を備える必要に迫られている。そのカギとなるIT人材の育成に向け、産官学による機動的な取り組みが求められている。

●●コメント●●

0 件のコメント: