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発展途上国から研修生を迎え入れ、習得した技術を母国に持ち帰ってもらう…。80年代から始まったこの外国人研修制度ですが、現実は研修生への人権侵害など多くの問題が出ているともいわれます。そんな研修生を保護するシェルターが都内にあります。
外国人研修制度は発展途上国から研修生を受け入れ、1年間は研修生として日本語や技術の習得させ、その後一定の要件を満たせばさらに2年間、企業と雇用関係を結んで実習生として働きながら学べるという制度です。
しかしこの制度には多くの問題が指摘されています。一つはその不安定な身分です。特に景気悪化の影響で「派遣切り」ならぬ「研修生切り」も全国で起きているといわれます。また、現行制度が完成した93年以降、外国人研修生を単純作業の安い労働力として利用する企業が生まれ、過酷な労働条件や低賃金に苦しむ研修生がいるといわれます。外国人研修生問題に詳しいジャーナリストの莫邦富さんは「明治時代の『女工哀史』に書かれているようなことが、今日の日本で起きている」と指摘します。
そんな環境に耐えかねた外国人研修生の駆け込みシェルターが都内にあります。現在6人いる研修生のうち、去年8月から保護されているのが中国人の段さん、胡さん、張さんです。3人は去年8月まで山梨県内のクリーニング工場で実習生として働いていましたが研修先から脱出してきました。
2005年12月、日本の縫製技術を学ぶためにやってきた3人…。しかし配属されたのはなぜかクリーニング工場の単純労働でした。朝8時半から午後5時まで働いて基本給は月5万円、残業代は時給300円、平日は深夜0時まで、土日も働いて月200時間の残業に及んだこともあるという過酷な労働を強いられたのです。実習生のひとり、段さんは「私たちの会社は人身の自由がなかった。自由に電話を掛けられないし、会社外の人と友達付き合いもできなかった」と話します。
問題は待遇だけではありません。胡さんのひざには今もあざがわずかに残っています。支援団体に保護される直前、研修先の社長や従業員から暴力を受けたこともあったといいます。
3人は去年8月、支援団体「外国人研修生権利ネットワーク」に連絡をとり、支援者の手によって救出されました。段さんは「想像していた日本は、人々に教養があって先進的な国。(しかし、研修先の)社長には失望した」と話します。
研修先の寮からは着の身着のまま逃げてきたため、シェルターには支援者の協力による最低限の日用品しかありません。家族の写真や私物はまだ会社の寮に残したままです。3人は帰国の道をあえて選ばず、ここで保護を受けながら研修先の社長に対し働いた3年分の最低限の未払い賃金の支払いと暴力行為の謝罪を求め、都の労働委員会に訴えています。相手側は暴力については一部認めたものの、未払い賃金については3年分全額を支払うことを拒否しています。
他にも全国から研修生が雇用先にパスポートや通帳を取り上げられたり自由な外出を禁止される、さらにはセクハラ行為などの事例も報告されており、三重県などでは残業代の支払いを求め訴訟も起きています。
これについて研修生の受け入れ企業を調査・指導する「国際研修協力機構」の工藤高史常務理事は「(研修制度は)非常に順調に推移していて成功しているし内外に定着している。こういった問題が一つ二つ事例があったからこれがすべてというのはどうかと思う」と話します。一方、外国人研修生の現状について莫邦富さんは「8割の企業が程度の差こそあれ、法違反すれすれ、もしくは法違反の状態で研修生受け入れ事業を行っている」と指摘します。
支援団体には毎日1件のペースで全国から研修生が電話、もしくは相談に訪れるそうです。ここ1、2年は特に相談件数が増加しているといいます。
今国会では現行制度で来日1年後からとなっている労働関係法の適用を前倒しし3ヵ月後からにする入管法改正案が審議中です。しかしこの研修生制度そのものの欠陥を指摘する声も多く、単なる法改正で対応できるのか疑問視されています。
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2009-03-27
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