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小学校の様子、中学校に引き継ぎ
中学進学時に、環境の変化への戸惑いなどから不登校となるケースが増える「中1ギャップ」。県立総合教育センター(花巻市)は、このギャップを埋めるための方策として、中学生活への適応に不安を感じる子どもについて、小学校の担任教師が対応の仕方を記載し、中学校へ引き継ぐための「個票」を作成した。導入した中学校では、実際に不登校が減少する効果を見せている。(西孝高)
県教委によると、2006年度の小学6年の不登校児童数は56人だったのに対し、同じ世代が中学校に進学した07年度には、中1の不登校生徒数は218人へと、約4倍に跳ね上がっている。
こうした「中1ギャップ」への対応策として、同センターは06年度、中学校の教師が小学校時代の欠席状況などを把握することで対応がしやすいように、情報を整理するための個票を作成した。
個票は、小学校での出欠状況や性格などを勘案し、教師が「配慮が必要」と感じた児童について作成される。個票には、「学習・活動」「社会的反応」「生活・健康」の3項目について、児童の様子を「+」と「-」で総合評価した上で、小学校の担任がどのような対応をとり、その結果どうなったかを記述するようになっている。
個票は、進学を控えた2~3月に小学校から中学校に引き継がれ、中学校側で指導方針が練られる。さらに、入学後の5月と夏休みにも、小学校当時の担任を交えてその後の状況を確認し合う場が設けられる。
小中学校間における引き継ぎはこれまでも行われてきたが、具体的な児童の対応まで踏み込めないことが課題となっていた。同センターの佐藤一也主任研修主事は「引き継ぎは、児童のいい面だけを伝える傾向が多かった。個票で、プラス、マイナスの両面と対応の仕方まで伝えることで、的確な対応が可能となる」と説明する。
紫波町立紫波第一中学校(生徒数768人)は、06年度末にこの個票を導入したところ、1か月に1週間以上休んだことのある生徒の数は、06年度が23人いたのに対し、07年度は12人に減り、08年度は6人になった。
同中で生徒との相談業務を統括する高橋訓子教諭は、「個票を活用して、事前に情報を整理することで、生徒の変化に対応しやすくなった。小学校の先生との距離感も縮まり、連携も取りやすくなった」と手応えを感じている。
一方で、「問題のある生徒というレッテルを張ることになりかねない」などと危惧(きぐ)する声もあり、佐藤主事は「個票の情報に頼るだけでなく、情報を頭の片隅に起きながら、目の前の変化に注目することが必要」と指摘している。
(2009年3月28日 読売新聞)
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