2009-03-27

ニュースワイドとちぎ:中国人留学生のキャバクラ不法経営 貧しい故郷に送金 /栃木

:::引用:::
◇貧しい故郷に5500万円送金--敵多く、成功長続きせず

 宇都宮大大学院の中国人留学生がキャバクラを不法に経営し、2年間でおよそ3億円超を売り上げ、ばく大な利益を母国に送金していた事件。出入国管理法違反(資格外活動など)容疑で逮捕、起訴された特木巴干(トムバガン)被告はその後の調べで、本名を「ハン・オートーコン」と明かした。日本での成功に執着し、架空の人物である「特木巴干」に成りすましてまで日本での滞在にこだわり、一時的に大成功を収めた形だったが、夢は長続きしなかった。【吉村周平】

 ◆「故郷に学校を」◆

 ハン被告は中国内モンゴル自治区出身。当初の調べで、ハン被告は中国の師範学校を卒業後、04年4月に初来日。東京都内の私立大学で半年学んだ後、同年10月に宇都宮大大学院に編入したと説明していた。

 だがその後の捜査で「特木」が偽名と判明、同法違反(不法入国・不法在留)容疑で再逮捕されると、ハン被告は偽名で宇大大学院に編入する前の、本当の経歴を明かした。29歳と称していた年齢も実際は31歳だった。

 ハン被告が初めて来日したのは99年春。半年更新の留学ビザで、都内の日本語専門学校へ留学した。だが、出席日数不足で00年秋、3度目のビザの延長が認めらず退学、不法残留を決意した。

 違法と知りながらも、日本にとどまった理由には、家族や親族から多額の金銭的支援を受け留学した背景があった。出身の村は貧しく小学校もない。「将来、故郷に小学校をつくりたかった」と、日本で金稼ぎにこだわった動機を説明したという。「『日本で成功し、名を上げ、恩返ししたい』。そんな思いがあったのではないか」と、捜査幹部は分析する。

 ◆再来日への布石◆

 00年秋~04年1月までの不法残留期間は、再来日を見越した準備期間だった。不法残留を続けても、いずれ強制送還される可能性を知っていたハン被告は、中国のブローカーに「特木」名義での師範学校の卒業証明書とパスポートの偽造を依頼。同被告はこの偽造証明書を使って私立大に出願。「特木」の名で入学手続きを済ませる一方、「ハン」の本名で東京入国管理局に自首し強制送還された。だがそれは「特木」名義で再入国することを念頭においた、一時帰国に過ぎなかった。

 ◆経営拡大と没落◆

 狙い通り、「特木」名義の偽造パスポートで04年春、再来日を果たしたハン被告は、都内や宇都宮市内の飲食店で従業員として働き、経営のノウハウを学んだとみられる。06年12月に第1号店の「アフェクション」を開店。自身のネットワークを生かしホステスに現役大学生を多く雇ったことが、思わぬ人気を呼んだ。

 その後、経営は順調に拡大した。2号店の「カレッジ」、3号店で後に閉店した「サード」、そして昨年12月、オープンした「タクト」……各店名の頭文字は50音の「ア段」から順に取った。近い将来には仙台への進出を狙っており、5店舗目は「ナラン(出身地方の言葉で『太陽』の意味)」を予定していたという。

 2年余りで計約3億2860万円を売り上げ、故郷に約5500万円もの大金を送金するなど「恩返し」を果たしたハン被告。だが、“順調”な生活は長続きしなかった。ハン被告の成功を快く思わない者たちの存在があった。同地区で客引きをする中年の男性はハン被告の逮捕後、「荒稼ぎし過ぎて、敵が多かった」と証言する。

 08年秋以降、県警にはハン被告の違法ビジネスに関する情報が集まり始め、県警は今年1月24日夜、3店舗を同時摘発。ハン被告の他、日本人学生や中国人留学生のホステスら7人を逮捕した。

 ◆浄化目指す◆

 県警組織犯罪対策課によると、県内では他にも、外国人が接待業や風俗関係の仕事に不法に就いている店の情報が数多く寄せられているという。同課は犯罪や違法行為の温床になりかねない外国人違法ビジネスの摘発に力を入れていく方針だ。
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