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◇不自由な日本語もネックに、ままならぬ公的手続き
日系ブラジル人など外国籍住民の多く住む彦根市で、不況の影響で派遣切りされた外国人労働者からの生活保護申請が急増している。昨年まで毎年1件あるかないかだった申請は、今年は2月の1カ月間だけで7件で、同じく派遣切りされた日本人の3倍に上っている。ほとんどは、東京に本社のある自動車部品メーカー「タカタ」の彦根工場で雇い止めされた元非正規労働者たちだ。今後、年末に雇い止めされた人々への失業保険給付(最短3カ月)が切れれば、さらに申請が増えるとみられる。【稲生陽】
■払われぬ賃金
3月4日夜、豊郷町役場近くの集会所前に家族向けの大型ワゴン車が並んだ。県労働組合総連合(県労連)が始めた外国籍住民向けの生活保護に関する説明会。参加した外国人の大半は彦根市在住だった。「どこに行っても面接すら受けられない。なぜこうなってしまったのか」。フィリピンから7年前に研修生として来日し、日本人の同僚女性と結婚した同市の男性(28)はうつむいた。
男性は京都市の派遣会社「ケイジ・コーポレーション」からタカタに派遣されていた。今年3月までの契約だったが、約120人の同僚と同じく、1月29日に同月末での雇い止めを通告された。しかも、県労連やケ社の代理人弁護士によると、ケ社に対する国税局の差し押さえなどで、労働者にはいまだに12月以降分の賃金や解雇予告手当が支払われていない。ケ社は破産準備を進めているが、裁判所に供託する予納金が準備できておらず、このままでは3月末にタカタが振り込む賃金の残り2800万円も労働者らには届かない見通しだ。
■外国籍住民の事情
外国籍住民の場合、同じ派遣切りでも日本人と事情が異なる。日本語が不自由で公的な手続きを申請できない人が多いことに加え、家族がそれぞれ仕事を持ち一定の収入があったため、ローンで住宅や車を購入した人も多い。しかし、家族全員が一度に仕事を失い、ローンの返済ができなくなっている家族もある。「最後の手段」として帰国のための旅費を残している人も多いが、世界同時不況の中、母国でも、技術がなければ仕事はないという。
また、県内の特徴として、派遣会社が寮を建てて生活の面倒もすべてみていたため、労働者間でのつながりが比較的弱く、法知識などの情報が周知されないことも問題を深刻化しているという。
■周辺市町にも波及
多くの自治体では、従来、働く能力がある人の生活保護受給は難しいのが実態だったが、不況で求人が少ないことから、国や県は積極的に申請を受け付けるよう指導している。彦根市では、昨年末から派遣切りされた労働者からの申請を受け付け始め、2月末までに労働者から計15件の申請があった。うち外国籍住民は8件。大半の申請が2月に集中し、3月も19日現在で5件と、ハイペースで申請が続いているという。市福祉事務所は「今は何とか通訳と都合をつけて受け付けているが、今後は周辺の市町でも増えていくだろう」と話している。
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2009-03-30
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