2009-03-24

メイテック エンジニア派遣

:::引用:::
 ■常用雇用 多様な働き方支援

 昨年末から今年年始にかけて日比谷公園(東京都千代田区)に開設された「年越し派遣村」に集まった製造業生産ラインの派遣労働者。その多くが住居喪失者になり、大きな社会問題に発展した。このため、人材派遣会社に対する風当たりは急速に強まることに。こうした風潮にエンジニア派遣会社の老舗であるメイテックの西本甲介社長は「派遣労働に関して、正しく認識されているのだろうか」との疑問を呈する。社会問題となった日雇い派遣や製造業向け派遣とは一線を画した常用雇用型のメイテックには「一緒にされてはたまらない」という強烈な自負があるからだ。(財川典男)

 ◆6000人の技術者

 人材派遣会社は「登録型派遣」と「常用型派遣」の2種類に分けられる。登録型派遣会社との雇用関係は、派遣先との契約期間に限定される。「日雇い派遣」も日々契約の登録型派遣のひとつだ。これに対してメイテックのような常用型派遣は、メイテックに雇用されている社員が派遣先企業でエンジニアとして働く。派遣先の仕事がなくなったとしてもメイテックとの雇用関係が継続。安定雇用が保証される。

 同社は約6000人の派遣技術者を擁している。常用型派遣でも有期雇用社員を派遣する会社もあるが、メイテックは全員が期間の定めのない無期雇用社員だ。「こうしたことが知られていなくて、人材派遣会社としてひとくくりにされてしまうのは残念だ」と西本社長は嘆く。

 このため、常用雇用によるエンジニア派遣の認知度向上に力を注ぐ。代表事例が、メイテックが音頭をとって2007年2月に発足した技術者派遣会社の業界団体「日本エンジニアリングアウトソーシング協会」(NEOA)。雇用期限のない無期雇用社員が派遣エンジニアの60%以上であることを加盟条件にしたのに加え、業務停止命令などを受けた場合は除名する規定も整備したため加盟社は現在10社と少ないが、地道な啓蒙活動を進めている。

 ただ、雇用状況は急速に悪化を続けている。1月の有効求人倍率は0.67倍と2003年9月以来の低水準に落ち込んだ。完全失業率は4%台で推移。厚生労働省の調査では昨年10月から今月末までで離職を余儀なくされる非正規労働者数は15万7806人にのぼり、うち10万7375人と68%を派遣労働者が占めるという。

 メイテックでも派遣先からの契約解除は確実に増えている。「非常時なので4月以降は厳しい状況が続く」(西本社長)。メイテックの派遣社員には派遣先の仕事がない期間は教育研修を受けてもらう。残業手当はなくなるが、基本給や業績給は従来通りもらえる。

 常用雇用のエンジニア派遣は、働く場所が自社ではなく、派遣先企業である点を除くと通常の正社員となんら変わりはない。給与も平均年齢34~35歳で平均年収604万円と登録型派遣と比べて高い水準。新卒の場合だと研修を受けた後に早い人は6月、遅くとも夏までに派遣先企業に配属される。

 ◆「終身」信仰ない

 こうした常用雇用派遣の存在意義について、西本社長は「企業の寿命は30年といわれてきたが、事業の寿命はもっと短くなっている。1企業に入社しても一生面倒を見てくれる保証もない。若い世代を中心に終身雇用信仰はなくなっている」と指摘する。

 理系の大学を卒業し、メイテックに就職することで一生をエンジニアとして生きるという選択肢も定着した。

 働き方の多様化は、新卒者だけではない。大企業でエンジニアとして働いていたが、一定の年齢以上になると管理職に就くため、エンジニアとして働き続けたいという理由でメイテックに転職するケースも増えている。エンジニアでは常用雇用型派遣は定着したといえる。

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 ■メモ メイテックは、延べ4000社以上の製造業にエンジニアを派遣。商品サイクルの短期化が研究開発分野の派遣エンジニアのニーズを増やした。10年前は自動車の開発に4年を要していたが、今では派生車などの場合、1年というケースも。こうした部分がアウトソーシングされるが、製品開発で競争力の源泉となる部分はメーカーも自社のエンジニアに任せるケースが多い。だが、1974年創業というメイテックは信用力で、研究開発のコア部分でも派遣エンジニアが活躍している。
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