2009-08-20

イタリア:治安法施行、「移民排斥」強化 自警団巡回容認も

:::引用:::
【ローマ藤原章生】移民を巡る社会問題が先鋭化しているイタリアで、違法移民をかくまう市民には禁固刑を科し、自警団による巡回を合法とする治安法が施行された。欧州議会やローマ法王庁などからも「外国人差別を促す」「ファシズムの再来」との批判が出ていたが、安定多数の中道右派与党が押し切り、野党は、外国人を犯罪者とみなす市民の過剰防衛が広がる危険を警告している。

 治安法の主な内容は、(1)違法移民は5000~1万ユーロ(67万~134万円相当)の罰金を科し、国外に追放する(2)医師と学校職員を除く公務員には、違法移民に関する情報を当局に報告する義務を課す(3)元警察官らで組織された自警団は違法移民の捜索、摘発ができる(4)違法移民に部屋を賃貸した者は6カ月から3年の禁固刑--など。

 移民関係以外では、スプレーでの落書きなどに最高6カ月の禁固刑を科し、飲酒運転に対する免許取り消しも盛り込まれた。

 ベルルスコーニ政権が提出した法案を、中道右派与党が上下院で可決。ナポリターノ大統領が14日に調印し、発布した。

 イタリアでは戦前のファシスト政権下で、自警団がユダヤ人や共産党員を弾圧する事件が多発した。治安法導入は、むしろ外国人排斥の風潮を助長する恐れが指摘されている。

 現にミラノでは、外国人排斥を唱える右派与党「北部同盟」の下院議員が「外国人の多い地下鉄にミラノ人の専用座席を設けろ」と訴える騒ぎも起きた。

 イタリアには合法滞在の外国人約400万人のほか、約100万人の不法移民がいるが、統計上、犯罪は年々減っている。にもかかわらず、ベルルスコーニ政権は発足当初から「外国人犯罪の増加」に焦点を当て、治安悪化を説いてきた。

 このため、歴史の苦い教訓や右傾化の行き過ぎを懸念する大統領は、調印に当たり、上下両院議長と首相、内相にあてて、自警団の巡回を懸念する意見書を送った。
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