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現在、入国管理法に基づく業務は法務省入国管理局(地方入国管理局8か所、同支局6か所、出張所62か所)が行っています。一方、外国人登録法と住民基本台帳法に基づく業務は全国約1,700か所の市区町村が行っています。
今回の法改正案が市区町村の業務に多大な影響があることから、外国人登録法と住民基本台帳法の業務システム対応等について検討してみることにいたします。
第一回は、外国人在住者の状況と市区町村における外国人登録システムの導入状況等について報告いたします。
1.外国人在住者の状況
(1)外国人在住者数
法務省の統計資料によると、平成19年末の外国人登録者数は215万2,973人で過去最高を更新し、日本の総人口の1.69%としています。国籍別にみると中国(台湾・香港を含む)が28.2%、韓国・朝鮮が27.6%、ブラジルが14.7%、フィリピンが9.4%の順になっています(以上で80%)。
都道府県別登録者では、東京都が17.8%、愛知県が10.3%、大阪府が9.8%、神奈川県が7.6%、埼玉県が5.3%となっています。
なお、不法残留者は平成21年1月1日時点で11万3,072人となっていますが、この5年間で厳格な入国審査や関係機関との密接な連携での摘発により半減しています。
(2)市区町村別の外国人登録者数
各市区町村の公表資料における市区町村別の外国人登録者数においては、地域差が大きく、政令指定都市の人口比(人口に占める割合)で比較すると大阪市が 4.6%に対して札幌市が0.5%となっています(平均値は2.3%)。ちなみに、大阪市生野区の人口比率が23.7%で、住民の4人に1人が外国人であるわけです。
2.市区町村における外国人登録システムの導入状況
市区町村における外国人登録システムの導入状況に多大な差異があると思われます。ここで述べる内容は、これまでの筆者の経験からの感想であります。
外国人の在住者状況において、市区町村により外国人登録者数と総人口に占める割合に差があることから、外国人登録システムの導入時期および形態に差があるようです。
政令指定都市でも住民記録システムの導入は早くても外国人登録システムの導入がかなり遅れて導入している実態があります。たとえば、総人口に占める外国人の比率が0.5%の札幌市においては、平成元年に住民記録システムを導入しましたが、外国人登録システムの導入は遅れること平成17年となっております(札幌市の公開資料による)。一方、外国人登録者数が少ない市区町村においては、紙台帳での管理や専用の業務システムではなく、住民記録システムまたは住登外システムで外国人登録を管理しているケースもあります。
3.住民基本台帳法の改正案による市区町村への影響
住民基本台帳法に基づく住民記録システムは、市区町村の中核をなす基幹業務であることから多くの業務システムへの影響があります。たとえば、税関連(個人住民税、固定資産税等)、保険関連(国民健康保険、介護保険等)、福祉関連(児童手当、障害者福祉等)、選挙人名簿、就学児童、健康管理などは住民記録システムの住民情報がベースとしています。
最近の話題としては、定額給付金や子育て応援特別手当の支給事務で住民基本台帳と外国人登録台帳の情報を抽出して処理が行われました。住民記録システムと外国人登録システムを個別に運用されている市区町村においては、特に複数国籍の混合世帯に対する子育て応援特別手当の支給対象世帯抽出に苦労されていました。
(1)近年の住民基本台帳法の改正状況
・平成7年度の続柄表示の改正
・平成13年度の介護保険制度施行に伴う改正
・平成14年度の住基ネット施行に伴う改正
・平成20年度の後期高齢者医療制度に伴う改正
上記の法改正は、単に管理項目の追加・変更程度であり、今回の法改正案内容は、これまでに無い多大な改正といえます。
(2)住民基本台帳法の改正案について近況
外国人と日本人を一元管理することで、複数の制度に基づく手続を1枚の証明書で出すのは難しいことでしたが、一元管理すれば複数国籍の混合世帯の証明書を一葉で出すことがしやすくなります。また、今回の定額給付金や子育て応援特別手当の対象者抽出や申請書作成にも効果があります。
しかしながら、まだ住民基本台帳法の改正案が示されている状況で、法案成立後に政省令を含め明らかになります。筆者としては、今回の状況報告に引き続き外国人住民に係る台帳制度(新たな住民記録システム)の検討報告をさせて頂く予定であります。第一回のレポートでは、日本における外国人在住者の状況(国別、都道府県別、市区町村別の主な比率などの数値)、市区町村における外国人登録システムの導入状況、住民基本台帳法の改正案による市区町村への影響について検討しました。
第二回は、外国人住民の台帳整備の在り方について検討いたします。検討するための根拠としては、現行の「外国人登録法」「出入国管理及び難民認定法」および「外国人台帳制度に関する懇談会報告書:平成20年12月」を基に、筆者の考えにて検討いたします。
1.現行法の外国人登録原票の事項
現在の外国人登録法第4条において、次に掲げる事項を外国人登録原票に登録し、これを市区町村の事務所に備えなければならないとしています。
(1)登録番号、(2)登録の年月日、(3)氏名、(4)出生の年月日、(5)男女の別、(6)国籍、(7)国籍の属する国における住所又は居所、(8)出生地、(9)職業、(10)旅券番号、(11)旅券発行の年月日、(12)上陸許可の年月日、(13)在留の資格(入管法に定める在留資格および特別永住者として永住することができる資格をいう)、(14)在留期間(入管法に定める在留期間をいう)、(15)居住地、(16)世帯主の氏名、(17)世帯主との続柄、(18)申請に係る外国人が世帯主である場合には、世帯を構成する者(当該世帯主を除く)の氏名、出生の年月日、国籍および世帯主との続柄、(19)本邦にある父母および配偶者(申請に係る外国人が世帯主である場合には、その世帯を構成する者である父母および配偶者を除く)の氏名、出生の年月日および国籍、(20)勤務所又は事務所の名称および所在地の20事項であります。
ただし、特別永住者(在留資格)については(9)と(20)の事項、在留期間が1年未満の在留者については(18)と(19)の事項を、それぞれ登録原票に登録することを要しないとしています。
以上が法律上定義されていますが、慣習的に申請があれば日本名となる通称名を多くの市区町村で管理されています。通称名は、住民票の写しや印鑑登録証明書の氏名欄にカッコ書きで記載されています。
2.外国人登録証明書の記載事項
平成17年6月1日以降に交付されている外国人登録証明書の記載事項は、以下の通りとなっています。
(1)外国人登録証明書番号、(2)氏名(姓、名、ミドルネームの順に記載)、(3)生年月日(西暦表示)、(4)性別、(5)国籍など(米国であれば州まで)、(6)在留の資格、(7)在留期間、(8)居住地、(9)世帯主の氏名、(10)世帯主との続柄、(11)職業、(12)勤務先、(13)次回確認(切替)申請期間。
以上が記載事項であります。
3.市区町村における外国人住民台帳の整備事項を検討
外国人登録法の廃止(予定)に伴う外国人住民を出入国管理法と住民基本台帳法で管理する予定から、市区町村業務である住民基本台帳の整備事項について検討してみます。
<1>出入国管理法(正式には、出入国管理および難民認定法)の目的
「日本に3か月を超えて滞在する外国人に、在留資格や在留期間といった情報を記載した IC チップの付いた『在留カード』の携帯を義務づける新たな制度を導入する」としています。この在留カードは、現在の外国人登録証明書に対応する身分証明書の位置付けと考えます。
一方、住所の変更を市町村に届けると、市町村から入国管理局に情報が提供されるなど、必要な情報が共有されるとしています。
<2>住民基本台帳法の外国人住民管理の目的
住民の居住関係の公証と選挙人名簿の登録を主な目的としています。外国人在住者を住民基本台帳で管理することになると外国人登録法固有の管理事項を住民基本台帳に取込む必要があります。
しかしながら、本来の住民基本台帳法の趣旨からしますと全ての固有管理事項を取込む必要が無いと考えます。ここでは、最低限取込むべき管理事項(20項目プラス通称名)について検討します(事項番号は、法律定義の番号)。
■住民基本台帳の趣旨から不要と考える事項
(8)出生地、(9)職業、(10)旅券番号、(11)旅券発行の年月日、(12)上陸許可の年月日、(20)勤務所または事務所の名称および所在地、以上の6事項は新たな出入国管理法の個別管理事項と考えます。
■住民基本台帳と同一事項
(3)氏名、(4)出生の年月日、(5)男女の別、(15)居住地、(16)世帯主の氏名、(17)世帯主との続柄、以上の6事項は住民基本台帳法でも定義されている事項であります。
また、(18)申請に係る外国人が世帯主である場合には、世帯を構成する者(当該世帯主を除く)の氏名、出生の年月日、国籍および世帯主との続柄、(19)本邦にある父母および配偶者(申請に係る外国人が世帯主である場合には、その世帯を構成する者である父母および配偶者を除く)の氏名、出生の年月日および国籍、以上の2事項は住民基本台帳業務として世帯管理していることから同一事項と考えます。
なお、(1)登録番号(現行の外国人登録証明書番号)を住民票コード、(2)登録年月日を住定年月日、(7)国籍の属する国における住所または居所を記載事項欄(転入前住所などを記載している事項)とすることで同一事項となります。
■必要となる追加事項
(6)国籍、(13)在留の資格、(14)在留期間および「通称名」の4事項が、住民基本台帳へ新たに取込む管理事項と考えます。
なお、住民基本台帳の「本籍地」「筆頭者名」は、外国人住民の管理事項対象外となります。次回は、新たな住民基本台帳業務の事務処理について検討報告をさせて頂く予定であります。
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パブリック - テクノロジー 2009年8月19日 09:00
外国人住民に係る台帳制度を検討(その3)
著者日本ユニシス 森山 勉プリンター用記事を転送
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これまでの第1回、第2回レポートでは、日本における外国人在住者の状況、市町村における外国人登録システムの導入状況、外国人住民の台帳整備の在り方を検討するため、現行の「外国人登録法」「出入国管理及び難民認定法」「住民基本台帳法」および「外国人台帳制度に関する懇談会報告書:平成20年12月」を基に、改正住民基本台帳法における外国人住民の管理する項目について検討しました。
今回は、国および市町村の動向、改正住民基本台帳業務を明らかにするための検討事項を抽出し整理することで、既存の住民基本台帳システムの改修ポイントを洗い出してまいります。
1.国および市町村の動向(筆者の私見を含む)
<1>国の動向
総務省は、法改正の成立に併せ「外国人住民に係る住民登録業務のあり方に関する調査研究業務の請負」の入札公告を出し、今年度末に報告書を取りまとめる予定としています。
この調査研究結果を基に、市町村における外国人住民の住民基本台帳業務処理などが決まっていくことになります。改正住民基本台帳法の施行が平成24年7月と想定されることから、国は既存の住民基本台帳システム改修の予算措置と改修を平成22年度~23年度と考えています。すでに国は、システム改修の市町村への補助金の試算が行われているとの話が聞こえてきております。
<2>市町村の動向
市町村においては、すでにベンダーへ概算見積要求を行っている市町村が多くあるようです。市町村の動向パターンは、大別して以下のようです(対象者が少ない市町村を除く)。
(1)パッケージ導入(共同利用も含め)の多くの市町村においては、ベンダー任せとし早急な取り組みとしておらず、今年度末予定の総務省からの調査研究などの報告書・説明会により改正住民基本台帳業務の対応を検討するようです。
(2)個別(独自)開発・導入の市町村においては、市町村の判断などにより最小限の改修で対応するケースと最適化・オープン化を目的とした再構築を検討しているケースがあるようです。ここで問題なのは、最近の最適化・オープン化に向けコンサルタントを登用しているケースで、業務知識の浅いコンサルタントが再構築を煽っている状況が見受けられます。
平成7年以降のこれまでの住民基本台帳法改正に比べ、今回は大きな法改正ではありますが現行法と法改正の趣旨を解釈し、市町村での業務および住民基本台帳システムを理解した上での意見・提言する必要があります。
2.改正住民基本台帳法による新たな業務要件の検討
ここでは、改正住民基本台帳法の「外国人住民を住民基本台帳法の適用対象に加える」について、業務システムとしての検討と前提要件を整理します。
<1>改正住民基本台帳法による外国人住民の管理
これまで在留外国人の管理は、「出入国管理及び難民認定法」に基づく入国管理局での管理と「外国人登録法」に基づく市町村での管理でありました。今回の法改正の趣旨は、在留外国人としての管理を入国管理局が一元的管理し、市町村は外国人住民の利便の増進および市町村の行政の目的とし、日本人と同様の居住関係を管理することであります。
以上の趣旨を理解した上で改正住民基本台帳業務における外国人住民の台帳整備に係る業務要件を整理することが重要です。
<2>申請・届出などの手続
今回の法改正で、外国人住民への住民票コード付与と住基カード交付をすることから、申請・届出などの業務処理は基本的に日本人と同様となります(通知処理と統計業務を除く)。異なるのは、国籍などの管理項目と本人確認としての在留カードであります。
<3>住民票の記載事項
外国人住民の居住を証明する住民票イメージについて、日本人との記載差異を検討してみます。
外国人住民の場合は、本籍地・筆頭者の記載が無く、国籍、在留資格、在留期間、在留カード番号の記載と年月日表記が西暦となると想定されます。なお、通称名については備考欄記載と考えます。
<4>法改正による新たな通知処理
外国人住民の通知処理としては、入国管理局との通知があります。入国管理局から市町村へは氏名などの変更届出、在留資格の変更、在留期間の更新、市町村から入国管理局へは住居地の変更であります。
また、今回の法改正に併せ、これまで紙文書で通知していた戸籍の附票通知を電気通信回線を通じて送受信できるようにする予定であります(対象は、日本人のみ)。
<5>通知処理などのネットワーク利用
入国管理局と市町村間・市町村と市町村間のネットワークについては、住基ネット、LGWAN、新たな専用回線との選択肢がありますが、国のシステム導入および運用コスト試算においても住基ネットを利用することがコスト的にも最良であると考えます。
今回は、改正住民基本台帳業務の事務処理についての検討報告をさせて頂く予定でありましたが、前提となる要件を整理することが必要であると考え報告させて頂きました。次回は、改正住民基本台帳業務の事務処理について、2回ぐらいに分けて検討報告をさせて頂く予定であります。
著者:森山 勉
日本ユニシス株式会社
第三企画部
シニアコンサルタント
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