麻生太郎首相は18日、内閣発足後初めて政府の教育再生懇談会(座長・安西祐一郎慶応義塾塾長)を開き、教育を国家 戦略の中心に据える考えを示し、「公教育の充実」に向け、早急に具体策をまとめるように要請した。教育再生懇は、首相に教科書の充実など教育の「質の向 上」に向けた具体策を提言した第2次報告を提出。首相はこの報告を早急に教育行政に反映させ、省庁の枠を超えて「教育立国」を目指す考えだ。
教育再生懇は今後、公教育の充実に向けさらなる提言をまとめるとともに、スポーツ庁設置、科学技術の奨励、外国人の日本語教育支援-などに関するワーキン グチームを複数設置し、来春までに新たな報告書をまとめる方針。首相補佐官は設置せず、河村建夫官房長官が陣頭指揮を執る。現在10人のメンバーも約15 人に拡充する予定だ。
会合で首相は「自然資源に恵まれない日本では人材が一番の資源になる。そのためには質の高い教育、信頼できる教育が大変に重要だ」などと述べた。
第2次報告書は、改正教育基本法と、学習指導要領の改定を踏まえて作成された。国語、理科、英語の教科書はページ数を倍増し、練習問題などを充実させることを提言している。
また、幅広い教養、豊かな情操と道徳心-などを教科書に反映させるよう明記。国語、音楽、美術では日本の伝統・文化に関する題材を、社会や家庭科では「地域社会やわが国に対する理解や愛情を深める」題材の充実を求めた。
さらに、会合では、ワーキンググループがまとめた「小中学校への持ち込み原則禁止」を盛り込んだ携帯電話に関する報告案と、市町村教委の権限拡大を明記し た教育委員会改革の報告案を了承した。携帯電話の規制については3年後に検証を行い、状況が悪化した場合、法的措置を政府側に要請することにした。
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教育再生懇談会の第2次報告要旨は次の通り。
■教科書充実の方向性 教育基本法の改正、学習指導要領改定を踏まえ、新たな教科書観に立って質、量の両面で教科書を格段に充実▽自学自習にも適した丁寧 な記述、練習問題や文章量を充実▽発展学習、補充学習に関する記述を充実、教科書観を転換▽実生活や実社会との関連など興味、意欲を高める記述を充実▽豊 かな情操や道徳心の育成などに資する題材を充実。
■教科書充実の条件整備 教科書の中身の充実に見合うページ数が必要。国語、理科、英語 は2倍増を目指すなど、充実のための条件整備を行う▽発展、補充学習の分量制限の撤廃など、検定の審査基準を見直す▽中身の充実に見合う教科書予算を充実 ▽教科書採択の在り方を見直す▽発行者、執筆者の意識改革▽研究体制を強化。
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