急激な景気悪化で、県内の製造業を支えてきた日系の外国人労働者たちが苦境に立たされている。企業の減産で真っ先に仕事を失った上、日本語がうまく話せず技能も乏しい外国人に労働市場の風は冷たい。
津市に住む日系ブラジル人女性(46)は、人材派遣会社を通じて、3年半勤めた自動車部品工場を11月末に突然解雇された。「自費で工具を買って まで働いてきたのに」とショックを隠せない。日本語は片言。公共職業安定所(ハローワーク)に通っても仕事は見つからず、運送業の夫(46)の収入で食い つなぐ日々。夫も「そのうち景気が良くなる確信があれば頑張れるけど…」と力なく話した。
三重労働局によると、外国人向けの窓口がある四日市、鈴鹿、津の各ハローワークの相談件数は4-10月で2569件。特に9月以降の増加が著しく、このままいけば昨年度の2617件から倍増する勢いだ。
ハローワーク津の村上裕行・外国人労働者専門監は「以前はより好条件の転職先を探す人が多かったが、今は仕事がなくなって『一日も早く就職したい』という切羽詰まった相談ばかり」と話す。
一方で、企業の求人は大幅に減っている。三重労働局がまとめた10月の産業別求人状況では「製造業」が昨年同月比で23%減。外国人が多い「人材派遣」は54%、「業務請負」は59%も減った。
村上専門監は「外国人は仕事の幅を広げる技能を身に付ける余裕やチャンスがなかった人が多い。日本語の能力が低いのも不利。企業とのマッチングは厳しい」と指摘する。
伊勢市のある人材派遣会社の経営者は「これまでは自動車がだめでも電器が良かったりしてバランスが取れたが、今回は全部だめ。こんなことは初めて」と嘆く。仕事を求めて事務所を訪れる外国人は以前の5、6倍になったが「仕事はない、と断るしかない」と頭を抱えている。
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