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「子ども手当」を掲げた民主党が政権をとったときに感じたのは、「ようやく日本の政権が本気になって少子化対策に乗り出す」という感慨だった。自公政権でも児童手当は拡充されてきたが、それはあくまで「公明党の求めに自民党がしぶしぶ応じてきた」という構図でしかなく、自民党に少子化のもたらす事の重大さへの危機感を感じたことはなかった。危機感のなさは経済界も同じだった。政府に求めるのは高齢化対策が中心で、国の根幹を揺るがしかねない少子化対策を喫緊の課題としてとらえている印象はなかった。
日本は本格的な人口減少時代を迎えつつある。人口が減れば必要とされるモノやサービスが減り、経済は縮小してデフレを後押しする。鳩山政権が子ども手当や公立高校無償化を打ち出したのに加え、日本経済のデフレ傾向が強まっていることもあって、経済界も少子化対策の必要性を真正面から受け止め、御手洗冨士夫日本経団連会長も子ども手当に賛意を示し始めた。
わが家には中学2年生の長女を筆頭に3人の娘がいる。大学教育までとなると、多額の資金が必要になる。この20年で国立大学の授業料は20万円近く上がり年53万5800円に、私立大学は平均28万円近く上がり84万8178円となった。こうした状況を考えると、子ども手当の使い道はおのずと「将来に備えた教育資金として貯蓄に回す」という結論に行き着く。
失業率の高止まり、給与所得の減少…。こうした状況下では子ども手当は、日々の生活費や貯金に回る可能性が高いのではないか。子ども手当をインセンティブとして「子供を産もう」という気になる人がどれだけいるだろうか。私の中には当初思い描いた「子ども手当=少子化対策」という図式は薄れた。子ども手当はあくまでも「子育て支援策」として位置づけ、少子化対策には別の施策が必要になるのではないか。少子化対策には「保育所整備の方が有効」と指摘する専門家も少なくない。鳩山政権には実効性のある少子化対策を期待したい。
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