高騰するオフショア開発費、「抑制の決め手は上流工程の委託」と中国ITベンダーが提言
「人件費の高騰や人民元の切り上げなどにより、中国でのオフショア開発のコストは年々上昇している。生産性を上げる、人件費の安い内陸に進出しSE を雇用するなど、さまざまな努力をしているが、それだけでは開発コストの上昇を抑えられない。下流工程だけでなく、上流工程もオフショアできれば、もっと コストを削減できる」。日本用友ソフトエンジニアリングのヤン・ガオ代表取締役社長はこのように語る。用友グループは中国のERPパッケージ市場でトップのシェアを持っている。日本用友ソフトエンジニアリングは、用友グループでITサービス業務を 担う北京用友ソフトエンジニアリングの日本法人だ。用友グループの2006年度の売上高は約170億円で、そのうちの約15億円がITサービスの売り上 げ。日本向けの売り上げはその半分に当たる8億円ほどだという。
ヤン社長は「中国のSEの技術は年々上がっている。SE全体の人数が増加していることに加えて、オフショアを経験し日本の商習慣を理解しているSEも多くなった。上流工程を任せてもらっても、十分に対応できる状況になっている」と語る。
一方で、「プロジェクトを開始してから最初の半年~1年間は、日本ベンダーよりも仕様決めに多くの人手が必要なことは事実」(ヤン社長)という。 「だが、要件定義に手間や時間がかかったとしても、そこさえ我慢してもらえればトータルでは必ずコストを削減できる。オフショアを成功に導くためには、日 本企業にも努力してもらう必要がある」(同)。
いまだに「上流工程を任せるには技術が足りない」など、オフショアの問題点を指摘する声は多い。日本のITベンダーがリスクを冒してまで中国のオ フショアに注力する価値があるだろうか、という指摘に対してヤン社長は「中国のIT市場は今後大きく成長する。オフショアを通じて中国企業との関係を深め ることは、その後の中国進出への足がかりを作ることにつながる。オフショアに力を入れた企業は、将来中国市場で大きな利益を上げられる可能性が高い」と強 調する。
「その際のパートナーとして、用友は最適な企業だ。中国全土に拠点があり、ソフト企業でナンバー1の知名度を持っている。ほかのどの中国企業より も強力なサポートができるだろう」(ヤン社長)。12月末には中国に進出する日本企業向けに、日本語版のERPパッケージを発売する予定だ。
日本のITベンダーの中国進出が増えると、競争が激しくなり立場が脅かされる可能性があるが、ヤン社長は「中国企業のITの導入はまだ遅れてい る。市場が急激に拡大しており、今後もしばらくはその状況が続くだろう。まだシェアを争う段階ではない。お互いが利益を得られる形で協力していくべきだ」 と話す。
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中国でのオフショアについて
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