日経マーケット・アクセス誌が企業の情報システム担当者を対象に行っている月次調査「日経マーケット・アクセス INDEX(日経MA-INDEX):企業情報システム」では、2007年9月調査から12月調査までの4回に分けて、「IT技術者の職種、スキル・レベ ル別に見た“値ごろ感がある”人月単価」を聞いた。その結果、最も高く評価されたのは「業務改革コンサルタントの上級」で約122万円、次いで「システム開発プロ ジェクトマネジャ(PM)の上級」で約117万円が“値ごろ感がある”人月単価とされた。おおむねスキル・レベルに応じた評価額となったものの、同等のス キル・レベルの中でも「ITスペシャリスト」への評価が「カスタマーサービス(CS)」や「ITサービスマネジメント(ITSM)」という運用管理系の技 術者への評価に比べてやや高め。最高の平均評価額を得た「業務改革コンサルタントの上級」から最低の「サービスデスクの初級(職種はITSM)」までは人 月当たり72.2万円の差があり、最高額は最低額の約2.5倍だった(図参照)。
回答者の業種属性で見ると、「金融/証券/保険業(以下金融)」ユーザーの“値ごろ感がある”人月単価は全回答者の平均より2~3割高で、「政府・自治 体・公共」ユーザーは約1割安。「流通業」ユーザーもやや安めに人月単価を設定したのに対し、「情報処理関連サービス」に属するユーザーは全回答者の平均 の約1割高めを“値ごろ”とした。
回答者が担当するシステムの規模別では、「利用者1000人以上」の大規模システムの担当者は平均より15%前後高めだったのに対し、「利用者300人未満」の小規模システムの担当者は平均より約10%安く評価した。
地域別では、「北海道・東北」 のユーザーが全回答者の平均より約15%安いラインを“値ごろ感がある”とし、「東海・北陸・甲信越」のユーザーも平均より10%弱安めを希望。これに対して「東京都」のユーザーは全回答者平均より約10%高めを“値ごろ”とした。
同じ職種、専門分野、スキル・レベルの技術者でも、ユーザーが感じる妥当な単価には、業種や地域、担当するシス テムの規模によって1割以上も開きがある場合が少なくない。システム・インテグレーターなどIT技術者サービスの提供者にとって、人的資源の育成計画と最 適な資源配分を考える上で、このデータの示唆するところは重要である。
この設問での「技術者の職種、専門分野とスキル・レベル」の定義は、2006年10月末にIPA(情報処理推進機構)が発表した「ITスキル標準 (ITSS)V2 2006」での「キャリアフレームワーク」(旧称スキルフレームワーク)の定義に沿って、「ハイレベル」(ITSSでのレベル5~7)、「ミドルレベル」 (同レベル3~4)、「エントリレベル」(同レベル1~2)の3等級に分けて回答を求めた。
需要者(企業の情報システム担当者)側に対して「妥当な対価」を聞く、という 設問であるため、ITSSで定義している職種の一部は調査対象から除外している。具体的には、顧客がそのスキルに対価を支払わない「マーケティング」と 「セールス」、製品の開発に従事する職種の「ソフトウェアデベロップメント」および「プロジェクトマネジメント」職種中の「ソフトウェア製品開発」専門分 野、対価の根拠としてITスキル以外の要素のウエートが大きいと思われる「エデュケーション」職種を除外した。
本来、ITSSはIT技術者のサービスの単価や質の基準として使用することを 意図した標準ではない。しかし、所属企業の特殊性に依存しない「IT技術者の市場価値」の基準として、現在の日本では最も認知され信頼されている尺度とし て、本調査ではITSSのフレームワークを基準に採用した。
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