2008-02-08

パラグアイの日本語教育事情

:::引用:::

 「移民先進国のブラジルには助けてもらいたい」―。こう語るのは、全パ日系人教育推進委員会(=教推委)の高橋次夫委員長。
 教推委とパラグアイ日本人会連合会(=連合会、小田俊春会長)では四年前から、JICA(国際協力機構)の協力を得て伯国の関係者を招き、「日本語教育分科会」を行っている。
 〇七年十一月には、スザノ日伯学園(汎スザノ文化体育農事協会=ACEAS、森和男理事長)から安楽恵子校長と中田和夫ACEAS文化・教育部理事を招き、全国十地域で「学校運営」勉強会を行った。
 スザノ日伯学園は公教育に日本語教育を取り入れたブラジル政府公認校。ACEASを運営母体とし、学校運営と日本人会の活性化が相関関係にある成功例。日パ学園への転換を検討し始めたパラグアイにとって格好のモデルケースと映った。
 各地の日本人会理事、日本語学校教師、父兄らを前に、スザノ日伯学園の取り組みを紹介し、パラグアイの日本語学校について見聞した安楽校長、中田理事に話を聞いた。
 「一番感じたのは三十年の差」というのは中田理事。日パ学園構想について、「鋭く質問がある地域と、まだ現実感がない所が半数ずつ」という印象を受けた。
 スザノでも移住七十周年の頃は日本語世界だったことを振り返り、移住半世紀前後のコロニアで日本語喪失への危機感が薄いのも無理はないと語る。それでも、「早く手を打ったほうがいい」と隣国に警鐘を鳴らす。
 建設に十年の歳月をかけたACEASは、学校建設・運営がいかに難しいか、身をもって知っている。一方、学校運営が会の再活性化にもつながった自負からも助言する立場にある。
 日パ学園には、従来の日本語学校からの発想の転換も必要だ。日系・非日系を問わず、「日本文化の普及」を目的とした特色ある学校作りを進める。日系子弟を対象とした日本文化継承目的の日本語学校とは異なる。
  日伯学園構想の提唱者、宮尾進氏は、「ブラジル社会に役立ち得る日本文化の良き資質の涵養を校風とし…(中略)(卒業生を通じて)ブラジルの新文明形成に 貢献すること」を学園建設の目的とする。「建設は『高度な組織力、協調性、団結力』を持つ移民世代の力を借りなければ不可能」とも付け加える。
  パラグアイの日パ学園検討ははじまったばかり。まだまだ健在の一世を中心に、日本人会立日パ学園を建設し、日本語学校と日本人会を立て直すことは十分可能 と言えそうだ。ことによっては、「三世代で消滅する移民の言語」という学説をひっくり返すこともできるかもしれない。パラグアイ日系社会の健闘を大いに祈 りたい。
       (おわり)
 (写真=エステ日本語学校での「学校運営」勉強会)
  訂正…五日付けの連載『ラ・コメルナ』は『ラ・コルメナ』と訂正します。


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