静岡県では、今後の行政施策の推進の基礎資料とするため、このほど全国で初めて県内の外国人雇用事業所、十六歳以上のブラジル人の双方を対象に実態を一斉 調査し、速報結果をとりまとめた。共同通信によると、調査したのは健康保険、雇用保険の加入状況、外国人労働者活用の理由、正規雇用への切り替え、さらに 生活状況など。結果は、日本人労働者に比較して、いぜんとして外国人労働者は恵まれておらず、「すき間をうめる」存在であることが明らかになった。
静岡県は、外国人登録者の人口に占める割合が、東京都、愛知県、三重県、岐阜県に次ぐ第五位。登録者数でも全国八位。特に、ブラジル人は五万人を超えており、外国人登録者数に占める割合が五〇%を超えているのは全国で同県だけであり、同県の特徴となっている。
今回の調査結果は、外国人登録者が増加する中で表れてきた教育や社会保障、雇用、地域コミュニティのあり方などの課題を明らかにし、日本人と外国人が理解、協調の下に安心して快適に暮らす、多文化共生の地域づくりの推進に役立てていく、としている。
調査結果をみると――
健康保険、雇用保険ともに日本人と外国人の間で加入率に差が大きい。
日本人労働者の健康保険加入率は八〇~一〇〇%だが、事業所では回答事業所の五五%、外国人労働者では同一四%と低い。
日本人労働者の雇用保険加入率は八〇~一〇〇%、事業所では回答した事業所の場合六四%、外国人労働者では同一九%という数字だった。
外国人労働者活用の理由は、「突発的な業務量の増減に対応可能」が回答した事業所の五三%、「深夜・休日の稼働率が向上」が四〇%。
外国人の派遣請負から正規雇用への切替えには、非常に消極的なことがわかった。「日本人労働者に実施」が回答した事業所の一〇%、「外国人労働者に実施」はわずか三%だった。
外国人の生活状況に関しては、日本滞在の形態は家族化、長期定住化しているが、雇用形態は不安定、の結果がでた。
世帯人数は「三人世帯」が回答者の二八%、「四人世帯」同二八%。日本での通算滞在年数は十年未満と十年以上が約半数ずつ。今後の滞在予定は「長く滞在し帰国」が回答者の四〇%、「日本に永住」同一九%である。就労形態は間接雇用が六二%、直接雇用の正社員が一四%。
一方、日本語の必要性を重視し、日本語学習、子どもの教育に熱心である。「日本語不要」は回答者の一%、「学習したい」は同七七%。また、回答者の四四%が「近くの公民館や公的施設」で学習を希望。
子どもの将来の進路では「日本の高等教育を希望」が回答者の三六%、「日本の職業教育を希望」同二〇%、「ブラジルの高等教育希望」同二九%で、高等教育を望む声が多かった。
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