少子化白書 産み育てやすい社会に
少子化の傾向が止まらない。きのう閣議決定された今年の白書では「地域の存立基盤にもかかわる問題が生じる可能性がある」とまで警告している。家庭や企業で抜本的な意識改革を進め、子どもを産み育てやすい社会づくりへ対策を急がなければならない。
働く女性が増えている。結婚や出産を望むのに慎重になるのは、子育てしながら仕事を続ける見通しがたちにくいためだ。第二子以降では、家事・育児の負担の偏りや育児不安もネックになる―。白書は多様な調査や研究を基に、希望と現実のギャップが少子化の原因となっていることを細かく分析している。
多岐にわたる対策のなかで、とりわけ仕事と家庭生活を調和させるワークライフバランスの視点を強調している。最優先課題に掲げたのは当然だろう。仕事に追われ、家庭生活の充実がままならない今のスタイルを変える。働く女性の負担が軽くなるだけではない。男性も育児や家事に時間をとることで、女性の不安を取り除こうというわけだ。
白書の提起を受けて、育児休業の取得を男性にも促したい。二〇〇六年度の民間企業でわずか0・57%で、10%という国の目標には遠い。しかし、三割以上の男性は取得を希望しているというデータもある。職場内の雰囲気などが障害になるようだ。お互いに意識改革が求められる。
一部の企業では、時短を認める「育児期間」の延長や在宅勤務の導入など、既にワークライフバランスを進めている。半面、厳しい経営環境が続く中小企業では、育児休業制度の整備に時間がかかっている。人材確保の観点からも、導入のメリットを粘り強く示していきたい。
国の制度だけではなく、自治体の取り組みも重要だ。広島県は、家庭に携帯で子どもの急病時の対応やイベント情報を提供しており、若い父母に好評という。山口県は先月、中国地方で初めて少子化対策を推進する「子育て文化創造条例」を制定した。ノー残業デーの普及や地域ぐるみの子育て活動を提唱し、来年度から施策を具体化する。
もちろん、結婚、子育ては個人の生き方にかかわる。ワークライフバランスを重視しながらも、一律の施策で補えない部分にも目配りは要る。安心して産み、楽しんで子育てする。そんな人生設計を選べる環境を整えたい。
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少子化対策
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