2007-11-28

人口減 来年にも…少子化白書推計

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政府は16日の閣議で、少子化の現状と対策をまとめた「少子化社会白書」を決定した。日本の人口減少が、従来の予測より1年早い2006年から始まる可能性があるとしている。

 国立社会保障・人口問題研究所が02年に発表した人口推計では、07年から人口が減少するとしており、政府が06年からの人口減少に公式に言及したのは初めて。

 白書では、〈1〉女性が生涯に産む子供の数を表す「合計特殊出生率」が04年に過去最低の1・29となった〈2〉「人口動態統計速報」の05年上 半期(1―6月)速報値は、死亡数が出生数を上回り、速報値ながら1968年の調査開始以来初めて、人口減少になった――ことなどを根拠に、06年に人口 減少が始まる可能性があるとしている。

 このため、「『人口減少社会』が予想を上回る速さで迫ってきている」とし、日本が欧米と比較しても「超少子化国」となったと警鐘を鳴らしている。

 その上で、子育て支援策の拡充が必要とし、地方自治体や企業の役割が重要だとしている。

 内閣府では、急速に少子化が進む背景を、「フリーターやニート(就業、就学、職業訓練のいずれもしていない人)の増加で、経済的に不安定で結婚が できない若者が増えたことや、結婚しても教育費の負担増を考え、子供を産まないケースが増えたことも影響しているのではないか」と分析している。

 また、白書では、国や家庭を含めた社会全体が子育てにかける費用を推計している。02年度1年間に18歳未満の子育てにかかった費用は、子ども1 人あたり173万円で、全体で38兆5000億円。このうち国や地方自治体の公費負担額は20兆円で、対国内総生産(GDP)比は約4%だった。

「人口減今年かも」厚労相

 少子化白書に関連し、川崎厚生労働相は16日の記者会見で、「今年は人口が減る年になりそうだ」とし、2005年から人口減少に転じる可能性もあ ると指摘した。「まだ2週間あるが、(年間で)約107万人の子どもが生まれる。多分、それ以上の方々がお亡くなりになる年だろう」と述べた。

 政府が決定した少子化社会白書は、06年からの日本の人口減少の可能性に初めて言及した。

 出生率の低下は、将来の働き手や、年金を始めとする社会保障制度の支え手、納税者となる世代が減少し、日本は活力を失うことにつながる。特に影響を受けるのが年金財政だ。

 04年の年金制度改革で、政府は少子高齢化の動向に合わせて給付水準を自動的に引き下げる「マクロ経済スライド」を導入した。

 年金の水準の前提となっているこれまでの人口推計では、総人口の減少は07年から始まることを前提にしている。04年の年金制度改革法では、妻が 専業主婦のモデル世帯の年金額が、現役世代の平均的手取り額の50%以上を維持するとしているが、前提となる総人口のピークが違えば、年金給付は引き下げ を余儀なくされる。

 もともと、04年の年金制度改革の際から、政府の人口推計は、現実的でないとの指摘が出ていた。推計の甘さにより、社会保障制度全般の設計に狂いが生じかねない。政府は、その手当てを早急に進める必要がある。


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