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甲南大(神戸市東灘区)が2009年度に新設した「マネジメント創造学部」が、学生の主体性を育てる実践で注目を集めている。現在、1期生約200人が西宮市内のキャンパスで学ぶが、講義の多くは少人数で、自分でテーマを設定し、掘り下げることを求められる。学生らは「課題が多くて忙しいが、やりがいがある」と前向きに受け止めているようだ。(黒川裕生)
同学部が主軸に据えるのは、受け身の教育からの脱却。1クラス約50人に担任を3人ずつ配置。大教室ではなく、少人数の講義を基本とする。
講義は自分でテーマを定め、調査などに取り組む内容が中心。「新しいゲーム企画を考える」という課題に挑んだ学生は、マイクロソフト社の社員の前で発表した。衆院選の際、議員の選挙事務所を訪ねて聞き取りをした学生もいる。
また英語力を身に付けるため、語学以外の専門科目でも約2割は英語で講義が行われる。学内の特定の階では、英語しか使えない。
休日に自主登校する学生が目立つのも同学部の特色だ。夏休み中の9月にキャンパスで勉強していた学生は「集中できる環境が整っているし、周りのモチベーションも高い」。学部長の佐藤治正さんも「学びを通じて未来を変えようという情熱を持つ学生は多い」と自信をのぞかせる。
こうした理念はハード面にも反映されている。阪急西宮北口駅近くに新設された西宮キャンパスCUBEは、カリキュラムと連動した設計。教室には、全学生がパソコンを使って講義を受けられるシステムを完備。携帯電話でドアが操作できる先端性などが評価され、機能性に優れた施設を表彰する「日経ニューオフィス賞」に選ばれた。
「ネーティブの講義では、宿題が何かさえ理解できず、脱落する学生もいる」と佐藤さん。「だが卒業後に自分が何をしたいかを見据え、学ぶには最上の場だと自負している。社会を生き抜く力を身に付けられるカリキュラムを組み立て、大学教育に一石を投じたい」と力を込める。
学部長室はなく、佐藤さんは常にキャンパスを歩き回っている。週に2回、学生とケーキを食べる会を開き、生の声を聞くことに努めているそうだ。
大学進学率が上昇し、大学を「人生のモラトリアム(猶予)期間」とみる人もいる。そうした風潮に真っ向から異を唱えるこの学部で、濃密な4年間を過ごした学生たちがどんな進路を選び、どう社会にかかわっていくのか注目したい。
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2009-10-13
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