2009-10-07

中国建国60年 躍進に伴う責任の重さ(10月1日)

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中国はきょう、建国60周年を迎える。

 記念式典や軍事パレードの主会場となる天安門広場など北京市内には百数十万人の警察官らが出動し、警戒網を敷く。ビルの窓からパレードを見下ろすことも禁じられる。

 国民の間には貧困や格差、政治腐敗をめぐる不満が増大する一方、少数民族の暴動も起きた。

 厳戒の中で歴史の節目を祝う記念式典は、多くの課題を抱える中国社会の一端も映し出している。

 近年の中国経済の躍進ぶりには目を見張るものがある。

 毛沢東主席のもとで、中国は建国からの約30年間、旧ソ連型の計画経済による国造りを行った。

 毛氏の死を受け、共産党は1978年、市場原理を取り入れた改革開放政策にかじを切る。これが爆発的な経済成長の始まりとなった。

 昨年の国内総生産(GDP)は約30兆元(約400兆円)と、建国直後の400倍以上に膨らんだ。既にドイツを抜いて世界3位となり、2位の日本を追い越す日も近い。

 中国は国際経済にとって欠かせない柱となった。先の20カ国・地域(G20)の首脳会合(金融サミット)では、新興国代表として世界経済のけん引役に位置づけられた。

 外交面での存在感も増している。

 核開発を続ける北朝鮮への対応や核軍縮、環境など、さまざまな問題が中国抜きでは協議できない。

 昨年の北京五輪に続き来年は上海で万国博を開催する。先進国の仲間入りを目指す意欲の表れだろう。

 中国政府に望みたいのは、国際社会で増す重みに見合った役割と責任を果たすことである。

 先の国連安全保障理事会の首脳級会合で胡錦濤国家主席は「国際的な核軍縮推進に努める」と述べた。

 軍縮に限らず気候変動など地球規模の問題について、国際協調を重視した姿勢を堅持してほしい。

 問題は、国内で生じている社会の「きしみ」だ。

 今夏の新疆(しんきょう)ウイグル自治区の騒乱でも露呈した少数民族問題、経済成長の一方で拡大する貧困層、政治的自由を求める反体制派の存在などは中国の安定を揺るがしかねない。

 9月中旬に開かれた共産党中央委員会第4回総会は「民族団結を推進する」とし、社会の安定に全力を挙げる方針を確認した。

 ただ問題の解決には、力による抑圧ではなく、あくまで民主的な対話で当たるべきだ。

 「アジア重視」を掲げる鳩山由紀夫政権にとって中国は重要なパートナーだ。さまざまな機会を通じて、中国との関係をより深める努力を続ける必要がある。
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