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外国人受け入れへの前進か、それとも停滞か。法務省が10日発表した在留特別許可のガイドライン見直しについて、外国人の支援団体や学者からは評価と反論の声が聞こえる。
埼玉県蕨市のカルデロンさん一家は3月、当時13歳の長女にだけ在留特別許可が認められ、両親はフィリピンへの退去強制を命じられた。一家を支援したNPO在日外国人教育生活相談センター(横浜市)の竹川真理子センター長は「これまで許可の線引きがあいまいで、不法滞在の親は子供を心配して自首しづらい空気があった。カルデロンさんの件でその空気が強まっていたが、ガイドライン見直しで希望を持てる家族もいると思う」と評価する。一方で「未就学児や、親が不法入国の場合は消極要素となり、状況によって処遇に差が付けられるのは子供の人権擁護の面で問題がある。家族を養うため不法入国せざるを得ない人々の現実も見てほしい」と話した。
中央大法科大学院の横田洋三教授(国際法)は「透明性の確保で、不安定な状況のまま日陰で生活してきた人も希望が持てる。許可を積極的に認める方向が強まるだろう」と評価したうえで、「消極要素についても法相の裁量の幅を狭めており、すべてに門戸を開いたわけでもない。重大な違法行為にはより厳しい対応になる可能性もある」と指摘した。
アムネスティ・インターナショナル日本の寺中誠事務局長は「在日外国人に対する厳しい目を変えないまま、世間の批判をかわそうとする内容に見える。在留特別許可制度は本来、最後の救済手段であり、対象の間口は不法入国者を含め、もっと広くあるべきではないか」と注文を付けた。【稲田佳代、坂本高志、石川淳一】
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■解説
◇出頭を促して救済へ
8日に成立した改正出入国管理法の施行後は、13万人いるとされる不法滞在者に身分証明書は発行されない。在留資格を偽装するなどして長年暮らしてきた不法滞在者にとって、今後は摘発の可能性が高まる。ガイドライン見直しは、不法滞在者に在留特別許可への期待感を与えて摘発前に入管へ自発的に出頭させ、一定数の在留を認める狙いがある。
従来のガイドラインでは、不法滞在者が入管に出頭しても、必ずしも自身が在留を許可されるか分からないとの声が上がっていた。入国後に在留資格が切れるなどで不法滞在となった外国人の多くが、退去強制処分を恐れ何年間も身分を隠して暮らしている。
結果として、不法滞在ながら日本に定着して子供を産み、その子供が学校に進学した後に摘発されるケースが相次いだ。「母国は日本」と訴える中学生の長女を残して両親が退去強制処分を受けたカルデロンさん一家のケースもその一例だ。
法務省はガイドライン見直しについて、必ずしも要件の緩和ではないと説明する。
だが、一定の年数を経過した場合に在留を認める方向性を示したことは確かだ。摘発に掛かるコストを減らすとともに、今後の運用で不幸な長期不法滞在の家族を減らす結果につながるだろう。【石川淳一】
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2009-07-23
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