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人材派遣会社「ヒューマントラストホールディングス」(東京都千代田区)が、月内に農業向けの人材派遣サービスに本格参入する。今年度は、北海道内で約30の農家や農業法人への派遣事業を軌道に乗せ、来年度以降は全国展開を目指す。人材派遣大手のパソナグループは、農業の担い手育成に取り組んでいるが、「派遣事業への直接参入はめずらしい」(農林水産省)という。
国内では、農業従事者の高齢化などによる農業人口の減少で、農業の担い手不足が深刻になっている。このため、収穫期などに限定した契約を中心に、農業分野での派遣事業がビジネスとして定着するとみられる。
≪北海道で試験的に≫
同社によると、農家や新規参入の農業法人には、人材募集のノウハウがないところも多く、需要があるのに就農に結びつかないケースがあった。
こうしたミスマッチを解消するため、同社は北海道で、春から試験的に、農家の求人相談を始めた。
初めは、「30代の体力がある若者がほしい」「経験者に限る」などと、高い条件をつける農家が多かったが、40代でも農業経験がある人や、未経験だが体力のある人などを紹介していくうちに、「うちは後継者がいないので、このままずっと働いてほしい」といった成功例が集まり、事業可能性が高まったという。
農家は、人手が必要な時期が収穫期などに集中するため、「長期雇用には不安がある」という声も強い。
このため、同社はまず短期契約を結んだ上で、長期の派遣につなげる手法も構築した。就農希望者にとっても、農作業の実態は経験しなければ分からない面が多く、参入のハードルを下げる効果がある。
現在の農業経営は、生産だけでなく、加工品の製造、流通まで広がっている。他業種での実績が現場で役立つことも多く、農業分野以外の人材集めのノウハウのある派遣会社のビジネス機会は広がる見通しだ。同社は、秋の収穫期に向けて、農家への営業活動を本格化させる。
≪就農人口2割減少≫
農水省の統計によると、今年の農業就業人口は290万人で、ピークの1960年(1454万人)と比べ、約2割に落ち込んだ。さらに65歳以上の割合は61%に及び、高齢化が着実に進んでいる。
一方で、昨秋の世界不況を背景に、非正規雇用者の雇い止めが社会問題になり、雇用不安が広がる中で、政府も、追加経済対策で就農希望者の雇用、研修費用の助成事業を計上するなど、雇用と農業の担い手確保をつなげようと取り組んでいる。
こうした動きに合わせ、パソナグループが、昨秋から兵庫県淡路市で農業に参入し、就農希望者を雇用して3年の研修後に独立支援させる事業を展開するなど、農業ビジネスの新しい形ができてきている。(田辺裕晶)
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2009-07-23
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