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「孔子学院」、北陸大は06年開設 水墨画、料理、伝統楽器…
北陸大学孔子学院で行われている中国水墨画教室
中国政府が2004年から各地に開設している教育施設「孔子学院」を拠点とした中国語教育が、世界で活発化している。県内では、中国とゆかりの深い北陸大学(金沢市)が06年から、一般向けに語学や文化講座を開いている。加賀市で5月、アジアの同学院関係者を集めた会議が開かれたのを機に、中国語教育の現状を取材した。(遠藤富美子)
5月末の平日夜、北陸大太陽が丘キャンパス内の孔子学院で、中国水墨画教室が開かれていた。この日の課題は「竹の葉」の描写。金沢市の男性会社員(68)は「初級中国語や『論語を楽しむ』の講座はとったから、今回は水墨画に挑戦」と筆を手にした。
北陸大孔子学院には、中国語講座を始め、有名中華料理店の料理教室や、伝統楽器・二胡教室など多彩な講座がある。受講生の8割以上が社会人で、「仕事に中国語を生かしたい」と受講する人も多いという。
中国政府が国家プロジェクトとして展開する孔子学院は、先月時点で分校も含め、82か国・地域に328校もある。各国の大学と中国国内の大学が共同運営する形が多く、北陸大は外国人向け中国語教育が専門の北京語言大と提携している。
◆アジアでの中国語教育
加賀市山中温泉で先月開かれた会議には、孔子学院本部(北京)の許琳・総幹事を始め、アジア21か国・51校の代表ら約140人が参加した。日本や韓国、中国系住民の多いタイには各10校以上あるが、中央アジアなど、近年、中国との関係を深める地域では、学院数は少ないものの、参加者からは中国語教育への並々ならぬ熱意が聞かれた。
ウズベキスタンの孔子学院長シャフカト・ハムラクロフ氏は「首都には多くの中国企業が進出しており、中国語を話せる専門家が必要」と、経済発展のため中国語を学ぶ意義を強調。ウズベキスタンは、中国などと地域協力組織「上海協力機構」を構成しており、「孔子学院設立は両国協力の証し」と述べた。
治安状況が不安定な地域でも中国語の授業はたくましく行われており、レバノン孔子学院の趙頴コーディネーターは「屋外で事件が発生して中国人教師が寮に帰れなくなり、テーブルの上で休んだこともあった」と明かした。
◆日本語教育の今後は?
一方、海外での日本語教育はどうか。独立行政法人・国際交流基金によると、06年の海外の日本語学習人口は133か国・地域の約298万人。同基金の海外日本語教育は30年の実績があり、08年には、現地ニーズに見合った日本語教育の支援などを強化しようと、世界の日本語教育拠点を結びつけた「JFにほんごネットワーク」を発足させた。
急増する孔子学院について、同基金担当者は「アジアへの関心が高まる反面、日本語と中国語のどちらかを選ぶ際、中国語を選択する現地学習者が増えることも考えられる」と話した。日本語はアジア諸国では「就職に有利」と学ぶ人が多く、欧州や米国ではアニメや伝統文化に触発される学習者が多いという。
海外での中国語教育について、北陸大の周航専務理事は「大切なのは人材育成。中国に親しみを持つ人々を世界に増やしたい」と語る。日本も、人づくりを重視し、親日家を増やしたい思いは同じだが、言葉や文化を国外に発信する「迫力」を強化する余地はありそうだ。
(2009年6月4日 読売新聞)
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2009-06-08
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