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中国の大学生の就職難は日本どころではないらしい。国谷裕子キャスターによると、今年の卒業生およそ530万人(日本の8倍以上)のうち200万人超が就職できないという。その背景には「中国の経済構造の現実に合わない大学教育制度の実態がある」(国谷)。
『世界の工場』からの脱皮を図り、産業の高度化を目指した中国は、人材確保のために大学生増加策を打ち出す。1999年に84万人だった大卒が10年後には500万人を超えたのだ。
84万人が10年で500万人に
スタジオゲストの田中信彦(国谷が「上海を拠点に人事コンサルタントをされ中国の雇用情勢にくわしい」と紹介)は、「中国は、先に人材を養成してから産業の高度化を実現しようとした。日本であれば産業の高度化を先にしてから人材を養成して行こうとする。中国政府は、まず既成事実をつくって、それを実態に合わせて、問題が出たら解決するアプローチをとる」と語る。それで「政府の予定より倍くらいに学生が増えた」(田中)。
本来、中国の大学生は「日本とは位置づけが違う。社会を引っ張る原動力となる人たち。階級が1つ上がるとも見られる重要な存在で、社会から尊敬をもって接せられる」と、田中は説明する。そのエリートが大幅に増え、今や4人に1人の割合になったという。増えすぎた結果、昨年来の世界的景気後退の影響もあって、大就職難に陥ったわけである。
番組が密着取材した上海・華東理工大学の同級生2人の男子学生も職探しに翻弄される。就職説明会は数万人が行列をつくり何時間も待たねばならない。企業のブースでは玄関払い並みに扱われる。なかなか面接にまで至らない。2人とも福建省の田舎に住む両親が多額の借金をして進学させてくれたのだ。就職したら実家に仕送りして家計を助けるつもりである。1人は金融マンへの希望を諦め、家具メーカーの内定受け入れを決める。月給4万5000円以上の条件を譲らない1人は、まだ1社からも内定を取れていない。
もう1人のスタジオゲスト、楊逸(中国人初の芥川賞作家)は「私たちの時代は大学に行きさえすれば国が配属先を決める形で、就職活動をしなくて済んだ」と言う。一方で「中国の農村では社会保障制度がなく、親は期待をすべて子どもにかける。親の老後は子どもにかかっている」と述べた。
国谷が「就職できない卒業生はどうやって乗り切って行くのでしょう?」と心配そうに尋ねると、楊逸は「学生も企業も新卒をそんなに重要に考えていない。アルバイトしながら仕送りし、自分の生活も立て、外国語や技術を身につけ、キャリアアップを図って次を目指す」と答えた。中国の大学生はたくましい、ということかもしれない。「こちらが思っているほど悲愴感はない感じでしょうか」と口にした国谷の、意外そうな面持ちが印象に残った。
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2009-05-26
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