2009-05-26

日本は技術力生かし貢献を

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世界の水問題

 世界では、人口の増加や経済の発展に伴い、いまなお多くの国が深刻な水不足に直面している。日本には水の浄化や海水の淡水化などに関する高い技術力があり、不幸な公害を乗り越えてきた経験もある。世界の水問題に対して、積極的な貢献を進めていきたい。

 政府は、2009年度補正予算案で、水処理技術開発の支援や、海外の民営水道など事業モデルの調査を行うため、約50億円を計上している。この背景には、水問題への理解と解決なくして世界の平和は訪れないとの考えがある。

 国連によれば、世界では約11億人が安全な水を確保できず、約26億人が衛生設備がない地域に住み、不衛生な水で毎年1000万人が亡くなっている。

 新興国の人口増加や経済成長に伴って飲料水や工業用水の需要は急速に高まっているが、水の絶対量の不足に加えて、赤道周辺地域や、急速に発展する中東新興地域、人口大国でもある中国北部、インドなどにおいては、人口や経済規模とのミスマッチによって地域的な偏在も生じている。さらに、工業排水による水質の悪化も懸念されているところだ。

 水不足は成長を阻害し、時に紛争を引き起こす安全保障上の問題にまで発展する。

 このため、経済成長を遂げる新興国をはじめ、各国の上下水道の整備は急務の課題となっている。

 世界の水問題は、日本にとっても無関係ではない。日本は食料をはじめ、多くの物品を輸入に依存している。例えば牛丼1杯つくるのには、約2トンもの水が必要と言われており、日本が輸入している食品の生産に必要な水(バーチャルウオーター=仮想水)を05の資料を基に算出してみると、総輸入量は年間800億立方メートル にも上る。水不足の深刻化が進めば、食料を通じて他国の水に依存している日本への批判が高まる事態は十分に想定される。

大きな潜在力

 水資源関連の市場規模は05年は約60兆円だったが、急速な需要の高まりを受け、25年には約100兆円にまで拡大すると見られている。

 このため、水メジャーと呼ばれる欧州主要企業も新興国へ進出しており、安全な水の確保と成長分野への参入という双方の利益の実現をめざし取り組みを進めている。

 日本では、工業用水の回収率は約8割に上り、水道の漏水率も1割以下に抑えられるなど、効率的な水資源管理が実現している。また、国内企業は汚水をろ過して飲料水にする技術や、節水、海水の淡水化技術において高い技術力を有しており、水関連分野で貢献できる大きな潜在力を秘めている。

 25年に80億人と予測される世界人口のうち、その3分の2が水不足に直面すると言われている。

 日本も水問題に対する危機意識を各国と共有し、着実な取り組みを進めていきたい。

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