2007-07-23

中国情報局の参考になるコラム

:::引用:::
成功するビジネスコミュニケーション(1)―小平達也
 
  中国駐在員や出張者だけでなく、日本にいても会社などで中国人社員とのコミュニケーション機会が増えています。

   2005年時点で中国に在留している日本人は11万人(長期滞在のみの数字。出張者など短期滞在は含まず)、日系企業が雇用している中国人は141万人 にも達しています。一方、日本にいる中国人は50万人を越えており、最近では出張や観光で来日する中国人も急増しています。

  このように交流の機会は増えているのですが、同時に中国人社員と一緒に仕事をする日本人からは仕事の進め方などでの相談が急増しています。このコラムでは中国人社員とのコミュニケーションのコツをご紹介していきたいと思います。
中国人社員と仕事を進める上での日本人社員の悩み実際に中国人社員と仕事をしている日本人社員たちからは「優秀で真面目」「仕事の吸収がはやい」「勤勉」という肯定的なコメントがある一方で、以下のような悩みも聞かれます。

  「適切なホウレンソウ(報告・連絡・相談)がない為、仕事がどこまで進んでいるのかよく分からない」

  「ホウレンソウせず自分で勝手に判断をして進めてしまう。最後の最後になってミスが判明し、結局一からやり直さなければならなくなってしまい当初の納期に間に合わなかった。」

  「基本的なビジネスマナーが出来ていない。これでは営業同行等で客先に出すことができない」

  「契約範囲や専門分野以外の仕事を頼んでも対応してくれないのではないか。」

  ホウレンソウは日本企業の場合、新入社員のときから繰り返し言われ続け、仕事を進める上で頭に刷り込まれている考え方ですが、中国の場合、「プロセスよりも結果を重視」という考え方もあるので、日本ほどホウレンソウは重視されていないようです。

   また、ビジネスマナーといった点については新入社員を受入る場合には懇切丁寧に教え込むものの、経験者など既に一定のキャリアがある人や中国人社員に対 しては遠慮がちな態度になり、なかなかはっきりとは要求しない傾向がある(相手からの行動を待っている「受身型」)ということも背景に挙げられると思いま す。

■中国人社員もコミュニケーション方法で悩んでいる!

  一方で、「自己PRが得意」「積極的」といわれる中国人社 員も実は悩んでいます。皆さん、意外と思われるかもしれませんが、我々が中国人に対して「中国人社員の抱える悩み」というテーマでヒアリングをしている と、もっとも多く聞かれる答えは「職場での日本人社員とのコミュニケーション方法」なのです。

  「周りの日本人社員は皆忙しそうにしている為、質問をしたいが仕事の邪魔をしてしまうのでは、と心配」

  「声をかけるタイミングが分からない。」

  「どのように質問をしたらいいのか分からない。」

   このように我々の想像以上にシャイな中国人社員も多く、彼らは普段から気を使っているのです。さらに驚かれるかもしれませんが「仕事が出来る」と周囲か らいわれている中国人社員ほど悩んでいるという傾向もあるのです。日本企業の仕事の進め方にあわせようと細かい部分にも気を使ったり、日本人の考え方を受 け入れようと努力をしていたりしています。

  中国人社員が気を使っているのにも関わらず、それを知らない日本人社員は「報告が遅い」などと思ってしまうミスコミュニケーションが発生しているのです。

■成功するビジネスコミュニケーション 今回のポイント

  「仕事が出来る中国人社員ほど、見かけ以上に深く悩んでいる」ことを意識した上で、まずは日本人社員から積極的に声をかけてみて、受身型のコミュニケーションから抜け出すことが重要です。

  今回のポイントを以下3つにまとめたいと思います。

  (1)ホウレンソウは必要、と繰り返し伝える(言わなければ分からない)。

  (2)シャイな中国人社員も多い。ホウレンソウを実行しやすい(声を掛けやすい)雰囲気づくりを心がける。

  (3)出来る社員ほどよく悩む。相手がこちらの想像以上に気を使っていることを念頭に入れる。

  普段接していても、なかなか見えづらいことですが、お互いに円滑に仕事を進めるためにも、今回ご紹介した3つのポイント先ずは実行してみてはいかがでしょうか。(執筆者:小平達也・パソナテック 海外事業部 部長)
成功するビジネスコミュニケーション(2)―小平達也

  このコラムでは中国人社員との職場でのコミュニケーションを円滑にさせるためのコツをご紹介していきたいと思います。

   中国語と日本語の違いでは「意味の異なる同一漢字」がよくあげられます。「手紙」が中国語ではトイレットペーパーの意味であったり、「大家」が皆を意味 したりと同じ漢字でありながら意味が異なる点が面白いところです。これら「意味の異なる同一漢字」は笑い話で済むかもしれませんが、実は中国人社員とのビ ジネスコミュニケーションでこれ以上に切実で重要になってくるのが今回ご紹介する「日本語によるコミュニケーション」なのです。

■相手が日本語堪能な場合でも注意
中国における日本語学習者数を見ると38万7924人(03年国際交流基金)と、よく比較されるベトナム(1万8029人)やインド(5446人)と比べても群を抜いて多い状況です。大連などは600万人の人口のうち、日本語学習者数が5万人とも言われています。
ただし、日本語が出来るという中国人社員が相手でも実際のビジネスシーンでは「何度いっても意味が通じない」「理解に相当時間がかかる」「日本語の行間が読めない」など、コミュニケーションコストが相当かかり、ストレスになっているという実情があるようです。

  「何度いってもなかなか意味が通じない。理解に相当時間がかかる」

  「ITエンジニアのはずなのに、専門用語が通じない」

  「日本語のニュアンスや行間が読めない」

  相互理解に手間隙がかかるとコミュニケーション自体がストレスの元になってしまい、本来のテーマ・本題までなかなかたどり着けない、ということになってしまいます。なにかいい方法はないのでしょうか?

■日本語によるコミュニケーション6カ条

  実は中国人と日本語で意思疎通を図るためには、「日本語ネイティブである日本人」がちょっとした工夫をするだけで、理解スピードが相当UPするコツがあります。以下、日本人が日本語を喋る際に意識すべき6つのポイントをご紹介しましょう。

1.主語や代名詞を明確にする

  日本語のなかに、「私が」「貴社が」「誰が」などを意識的に言葉にする。はじめに主語を明確にするだけでも相手の理解スピードUPの効果あり。

2.出来るだけ係数設定をする
 
  締め切り期日など客観性をもった表示が可能な場合はできるだけ係数設定する。

3.日本語のニュアンス

  「いいです」などイントネーション次第でイエスともノーともとれる単語の使用は極力避ける。

4.カタカナ語・外来語の使用に注意

  「インターネット」「マウス」などカタカナ語は「日本語発音の英語」になっている場合が多い。使用する場合は英語発音を意識したほうがよい。

5.ひとつの長文より、5つの短文

  時間・量ともに一文一文を短文に切って話す。

6.打合せなどの結果はメモにして確認

  一般論としては積極的なイメージの中国人社員だが、実はシャイで質問など遠慮する人も多い。質問や確認をしやすくする効果がある。

■成功するビジネスコミュニケーション‐今回のポイント

  日本語によるコミュニケーション6カ条、いかがでしたでしょうか。これら6カ条を意識するだけで相手の理解スピードは相当速くなるはずです。ぜひ活用してみてください。

  今回は言語という点からご紹介しましたが、コミュニケーション上の注意ポイントは他にも「一般・普遍的な事柄」「年代別の違い」「文化的背景に起因するもの」「日中関係を背景とするもの」など様々あり、多層的に関係してきます。

  次回以降のコラムでもこれらをご紹介していきたいと思います。(執筆者:小平達也・パソナテック 海外事業部 部長)


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外国人人材の管理で実績を上げられている企業の海外事業部長のコラム。

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