「技能五輪」２２年ぶり日本開催、人材発掘に期待する業界

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　４６の国・地域の若者が、電子技術や洋菓子作りなど多様な分野で技を競い合う「第３９回技能五輪国際大会」が１４日、静岡県沼津市で始まる。

　２２年ぶりの開催地となる日本からは過去最多の５１人が出場するが、選手を送り出す会社や業界には、人材の育成や確保といった大きな狙いがある。

　日本勢は、建築大工、広告美術など４６職種に出場する。なかでも金メダルが有力視されるのは、技術立国・ニッポンを支えてきた機械・金属分野だ。

　旋盤など３職種にエントリーする「日立ハイテクノロジーズ」のナノテクノロジー製品事業本部（茨城県ひたちなか市）は、毎年１、２人の若手を選抜 して製造ラインから外し、“英才教育”を施す。指導担当は、１９７３年に金メダルをとった上遠野徹さん（５４）ら大会経験者。ランニング、筋力トレーニン グの後、終業まで選手用の別室で訓練を受ける。

　今大会に出場する３選手は２１、２２歳。五輪出場資格は原則２２歳以下で、選手としての訓練期間後は製造現場に出る。「大会では、冷静なトラブル処理能力も求められる。こうした力を備えた人材がラインに入る意義は大きい」と上遠野さんは強調する。

　自動車部品メーカー「デンソー」の養成機関で、社員４人を出場させるデンソー技研センター（愛知県安城市）の萩野幸一社長も、「五輪参加は人材育成の一環だ」と言い切る。

　だが、選手養成には経費や手間がかかる。業績の悪化から、予選にあたる国内大会への参加を取りやめていた精密機器製造「セイコーエプソン」（長野 県諏訪市）は、２２年ぶりに国際大会に挑む。生産現場の海外移転が進む中、「若い人に技術が伝わっていない」との危機感を抱き、２００２年に訓練体制を整 備。今回、ようやく出場を決めた。

　新人確保が切実な課題となっている業界もある。

　１２年連続で国内大会に参加、今大会に社員１人を出すタイル工事「奈良屋」（岩手県一関市）の来春の就職希望者はゼロ。小野寺正洋社長（５５）は 「５０年採用を続けて初めて」という。社員２人を出場させる「小杉造園」（東京都世田谷区）の小杉左岐（さき）社長（６１）は、業界団体の幹部として、人 材不足に頭を痛める同業者を見てきた。「真剣に取り組む同年代の姿を見て、もの作りの楽しさに気付いてもらえれば」と、若者の来場を呼びかける。

　競技は、１８日まで行われる。

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