2007-11-28

「技術者の転職市場はさらに活性化へ」

:::引用:::
「技術者の転職市場はさらに活性化へ」、
半導体特化の人材紹介会社に聞く (2007/11/27)
 外資系の人材紹介会社の中では大手であるウォールストリートアソシエイツ(WSA)は2007年9月に、半導体業界に特化した同業者であるステップコンサルティングを買収した。目的は、半導体関連技術者の転職市場における取り組みを強化することにある。
 これまでWSAは、金融や人事、ITなどの業界を対象に人材紹介業を展開してきた。その同社が半導体業界に事業範囲を広げた理由や狙いは何か。買収前は、ステップコンサルタントの社長で、現在はWSAのステップコンサルタント事業部でディレクターを務めるNeil Bevan氏に話を聞いた。(聞き手:山下勝己)

Neil Bevan(ニール・ベバン)氏。南アフリカ
出身。以前はラグビー選手でプロップを務め
ていた。
EE Times Japan(以下、EETJ) WSAが半導体業界の転職市場に事業範囲を広げた理由は何か。
Bevan 最近になって、欧米などの外資系半導体関連企業が相次いで日本市場に進出しており、転職市場が活況を呈していることが最大の理由だ。しかし、半導体業界の人材紹介業に参入するには、半導体技術に関する専門知識が欠かせない。人材を求めるクライアント企業の要望を理解し、最適な人材を見つけ出す必要があるからだ。そこでWSAはゼロから事業を築き上げるのではなく、7年にわたってノウハウを積み上げていたステップコンサルタントを買収した。

EETJ 技術者を対象とした人材紹介業を展開する企業は、国内にもたくさんある。こうした企業との違いは何か。
Bevan 競合する人材紹介会社が多いのは確かだ。しかし、半導体業界に特化しているのは、ステップコンサルタントだけだった。WSAに統合された後も、当事業部は半導体業界に特化して事業を進めていく。
 半導体業界に特化しているため、当社が備える専門知識のレベルは高い。実際に当事業部のコンサルタントはすべて、かつてエンジニアとして活躍していた経験がある。このため、クライアント企業が求める人材のスペックを非常に深く理解できる。さらに、求職者が備える技術力を正しく評価できるため、最適なクライアント企業を紹介することが可能になる。

EETJ 半導体業界と一口に言ってもかなり広い。その中で得意とする分野があるのか。
Bevan EDAやFPGA、ASIC、電源、アナログ、グラフィックス、ワイヤレスといった分野にフォーカスしている。

EETJ 求職者はどのようにして集めるのか。 
Bevan 優秀なエンジニアの友人もまた、優秀なエンジニアであることが多い。従って、過去に当事業部を利用したエンジニアの口コミで求職者を集めている。さらに、展示会やセミナーに参加しているエンジニアに声を掛けて、興味を持っていただいたエンジニアの名刺を集めるといった取り組みにも力を入れている。2007 年10月上旬に開催された「CEATEC Japan 2007」に展示ブースを構えたのも、求職者を集める活動の一環である。

EETJ WSAのホームページを見ると、求職情報はほとんど英語で記述されている。日本の技術者にとって親切ではないと感じる
Bevan クライアント企業の約9割が外資系の半導体関連企業である。しかもこの割合は今後高まる傾向にある。従って、ある程度の英語力を身に付けていることが最低限必要だ。このため求職情報は英語で記載している。
 もちろん英語力が劣っていても、外資系企業に転職できる。しかし英語力が高ければ、昇給と昇進が早いという大きなメリットを享受できる。

EETJ 欧米諸国と日本の転職事情を比べた場合、最大の違いは何か。
Bevan 日本人の方が欧米人に比べると動きが遅いことだ。転職にかける時間は、欧米人の4倍程度も長い。欧米であれば、人材紹介会社のウェブサイトに名前を登録し、最適な転職先の紹介を受けると、すぐに転職を決めるケースが多い。しかし日本では、1人ではなく、さまざまな人に相談してから決断するため、多くの時間を費やすことになる。

EETJ 技術者向け人材紹介業を展開するに当たって留意していることは何か。
Bevan リレーション(関係)を大事にすることだ。われわれのビジネスにとってに商品は求職者だ。従って、大切に扱わなければならない。嘘をつくなど言語道断だ。求職者にとっても、当社にとっても、良かったと思える転職を実現しなければならない。実際に、過去1年の間で、転職した技術者が転職先を退職したケースは一度もない。その理由は、当事業部が備える専門性の高さにあると考えている。

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