2007-11-07

中国ソフトウェア産業の人材流動性 その実態

:::引用:::
一般的に中国ソフト ウェア会社における人材の流動性は非常に高いと思われがちです。言い換えれば、人材定着率が非常に低く、取引相手として考えると好ましくないといったマイ ナスイメージがあるように感じます。このようなイメージが中国オフショア開発を敬遠する主な要因のひとつになっています。

  しかし、実際のところ中国現地では人材が安定、定着しており、少なくともリーダークラスの人材はかなり安定している企業も非常に多いのです。それなのになぜ「中国ソフトウェア会社の人材流動性は非常に高い」というイメージがあるのでしょうか。

  これには様々な要因があると思いますが、個人的には日本で働く中国人技術者の定着性に対する印象から、中国オフショア開発でも同じように人材定着率が低いのだろう、という誤解があるのではないかと感じます。

  確かに日本に住む中国人技術者の定着率は、あまり良いとは言えない状況だと思います。多くの方から「中国人技術者を育て、実務経験を積ませてようやく一人前になってくれたと思ったら、他社に転職してしまった」といった事例をよく耳にします。もちろん人それぞれなので一概には言えませんが、全般的にこのような傾向があることは否定できません。

  もちろん生涯日本をベースにして仕事をしたいと考えている技術者も多いですが「日本で業務経験を数年積んで、いつかは中国、故郷で独立したい」「日本での業務経験をキャリアにして、地元の企業に高待遇で入社したい」という考えも少なくないと思います。

  向上心、積極性の表れとも言えますが、ではなぜ日本在住の中国人技術者は流動性が高いのでしょうか。ここで逆の立場、仮説で考えてみましょう。

  仮に、日本のソフトウェア産業が現在も発展段階で、かつ高所得者と低所得者の差が非常に大きい国だとします。一方で、日本の給与の4倍の所得が得られるA国(但し物価も高い)があるとします。さらにA国は昨今、深刻な人材不足であり、海外からの技術者を受け入れたいという企業が多くあります。加えてA国でキャリアを数年積み、日本に戻ると日本企業から歓迎され、高待遇(新卒初任給の3倍以上の給与)で迎えられるとします。もし日本にこのような経済、産業の環境があったとしたら、皆さんはどのように考えるでしょう。

  もちろん、人それぞれ価値観や考え方が異なるため、一概には言えませんが、A国に行って仕事をしてみたいと考える方も少なくないのではないでしょうか。その場合、A国の単一の会社で仕事をすることに固執するでしょうか。

  このように考えると、中国現地の技術者に比べ外国である日本で仕事をしている技術者の流動性が高い傾向にあることにも素直に頷けるのではないでしょうか。

  中国オフショア開発の実施に先立ち、中国人技術者を招聘、採用して受入れ、まずは試行してみようという日本企業が多くありますが、技術者は転職しがちだというマイナスイメージによって中国オフショア開発を敬遠するケースも少なくありません。

  私としては、こういったことで、中国オフショア開発のマイナスイメージが先行してしまい、誤解が生じていることがとても残念です。中国現地では、人材定着率が高い企業も多く存在するという実態を、より多くの日本企業の方々に知って頂きたいと考えます。

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中国オフショア開発

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