2009-02-19

日本はいかに公開資料から中国を研究しているか

:::引用:::
  日本政府が民間のシンクタンクに委託する研究は一般的に、個別の小さな問題ではなく、中国の方針や戦略に関わるマクロ的問題を対象にしている。平和・安全保障研究所が 2007年に防衛省から委託された、「中国の安全保障政策」に関する研究もその一例である。この研究に参加した専門家はまず、中国の指導者が共産党全国代表大会で発表した重要講話や、中国国防白書の一字一句を詳細に分析する作業から始めたという。

  この研究の報告書では、中国の指導者の共産党第17回全国代表大会における国防政策に関する発言を具体的に分析。このなかで、「中国は国防の現代化の推進について、機械化と情報化の複合的発展を目指す方針を提起しているが、これらのどちらを優先的に進めるかについては曖昧である。次の段落の国防の現代化のなかで、どの軍隊を優先的に発展させるかについて、明確に言及していないことから、各軍隊の間で限られた国防費をめぐる攻防が激化していると考えられる。今後、こうした状況が国家財政に対して圧力となるほか、外国の中国に対する警戒心を高めることになる」と指摘している。

  また、報告書は王毅前駐日大使が2007年12月15日に発表した「21世紀の新アジア主義を考える」と題する論文に対し、高い関心を示している。この論文の翻訳を2ページにわたって掲載し、以下のように論じた。

  まず、「王毅氏の論文は中国の外交政策にどの程度影響を与え、反映されているのだろうか。今後、この点について研究すべきである。この論文は中国の外交路線を研究する際、大きな糸口であることは確かだ」とし、その重要性を評価した。

  また、「この論文のなかで示された、日本がこれまで主導してきたアジア主義を否定し、中国主導のアジア主義を肯定する視点に十分注目すべきである」と指摘。さらに、東アジアに関する記述から、「東アジアとは東半分を意味するだけで、(北のロシアと南のインドを含むが)、西半分は含まないという中国の見方が示されている。この点にも注意すべきである」と分析している。

  日本の中国軍事研究のなかで、中国が航空母艦を製造するか否かという点も1つの焦点となっている。報告書は、1993年5月に「国防教育報」に掲載された「中国人の航空母艦に対する夢」と題する論文を引用し、「中国は航空母艦を大型兵器と見なしているだけでなく、国家の強大さを示すシンボルとして期待している。中国は旧ソ連から購入した航空母艦の改修作業を進めており、実戦で使用できるレベルまで能力を引き上げる計画だ」と指摘した。

  これらのほかに、中国のテレビドラマも研究対象となっている。報告書は、「中国の台頭は諸外国との対立を伴う可能性が高い。テレビドラマ『亮剣』のヒットから、こうした状況下における中国人の心理をうかがい知ることができる。ドラマのタイトルの亮剣とは剣を抜くことを指すが、敵がどんなに強くても真正面から戦いを挑まなければならないという意味も含む」としている。(つづく
●●コメント●●

0 件のコメント: