2008-06-18

ベトナムは日本企業にとって理想的な投資先

:::引用:::
日本貿易振興機構(JETRO)は、アジアにおける日本企業の投資環境についての年次調査結果を発表した。これによると、ベトナムは日本や周辺国に拠点を 持つ日本企業にとって、近い将来最良の投資先となり、ベトナムで活動中の日本企業のほとんどが、今後1~2年で活動を拡大する予定を持っている。

 日本企業によると、採用は難しいがベトナムの労働力は競争力がある。ワーカーや技術者、中間管理職の月給は地域内で最低水準で、これが、日本企 業がベトナム投資を考える際の決定的な要素のひとつとなっている。ASEANで労働コストが最も低いというのは、ベトナムが第3国への輸出品の生産拠点と して選ばれている理由だ。

 しかしコスト低減は、日本企業がライバルと競争する際の第一手ではない。中国企業が価格の強みから最大のライバルと見られていたとき、アジアに 拠点を持つ日本企業の約60%が、コスト低減より先に、製品やサービスの付加価値向上を予定していた。これはベトナムでも同じ傾向で、製造業の40%、非 製造業の76%がこの認識を持っている。

よって人件費も労働者を採用する際の唯一の条件ではなく、効率や育成されているかなどのレベルや、ストライキが発生しうるかに関することが採用を決定する ときの大きな要素となる。また製造業の中間管理職や非製造業における技術者の採用が難しいなど現在ベトナムの人材源は不足しており、レベルも要求を満たす ものではない。

 不動産も日本企業が注目している分野だ。オフィス不足とリース料の高騰は非製造業の日本企業にとって最も困難なもので、これは特にシンガポール とベトナムで深刻だ。ベトナム各都市の不動産価格はシンガポールを除くASEANの中で最も高く、特にハノイのオフィスは地域全体で最も高い5都市に入 る。住宅賃貸価格も上昇し外国人の生活費を上げており、特にホーチミン市は地域で3番目に住宅賃貸価格が高い。

 1~2年の短期で、日本企業は活動を拡大する傾向にある。すでにベトナムで活動している日本のメーカーの92.6%が活動を拡大する予定で、こ の割合は地域最高、非製造業でも最も高い88.2%だった。さらにベトナムとインドで活動する日本企業に縮小や他への移転計画がないということも重要な点 だ。

 5~10年の中期的にも、ベトナムは外国で活動する日本企業にとって理想的な投資先と見られている。調査では外国で活動する日本企業の 33.7%が、ベトナムを5~10年の中長期的な視野で最も展望のある投資先と見ている。これは2006年の調査では31.2%だった。この割合が2番目 に高いのはタイで22.3%、2006年の水準と同等だった。逆に中国は雇用に関する弱点や外国投資、税務に関する政策変更により、2006年の 22.9%から2007年は17.5%に低下した。

 これらの企業は、ベトナムを人件費の安さから輸出用の中低級品の生産拠点と見ている。よってベトナムは、輸送や税関手続きなど輸出に関するサービスの改善が求められている。工業分野で潜在力が高いとされているのは機械設備、電気・電子やそれら部品、金属製品などである。

 注意すべきは、日本企業から高評価され、事業拡大計画も多いとはいえ、ベトナムに対する信頼が以前ほど高くないということだ。信頼低下の主な原 因は、他のASEAN諸国に比べ部品・原料の購入の可能性やインフラで劣るからだ。ベトナムの内地化率は地域平均の40.1%に対し26.1%、タイの数 字はベトナムの倍だ。

 生産コストの低下は緊急の課題で、多くの日本企業が内地化率を上げるとしており、これはベトナムのサプライヤーに部品・原料の品質向上と納期厳 守を求めるものである。インフラ整備の遅れは、製造・非製造業共通の障害であり、ベトナムは日本企業から最も不満が上げられている4カ国のひとつとなって いる。
●●コメント●●

0 件のコメント: