2009-03-27

 「IT人材市場動向調査 調査報告概要版No.3」の公開について

:::引用:::
 IT人材市場動向調査は、IT人材の育成施策検討に向けた基礎情報の収集を目的に実施したものです。 調査報告概要版は、4回に分けての公開を予定しており、今回の「調査報告概要版No.3」公開は、3月13日に公開した「IT人材市場動向調査 調査報告概要版No.2」に引き続いて行ったものです。No.4は4月上旬頃の公開予定です。
 なお調査総括、調査結果詳細等を含む調査報告全体は「IT人材白書2009」として5月中旬頃を目途に出版する予定です。

 わが国産業界は、IT分野の人材が恒常的に不足していると言われています。その解決のための人材育成施策の立案にあたってIT人材動向の現状及び今後の把握が必要とされますが、IT人材の将来的な市場動向を予測するためには、その裏づけとなる環境要因の把握・分析が不可欠です。
 しかし、IT人材は多様な職種として産業横断的に広く存在するため、既存の統計では、その全容を正確に把握することは困難です。
 このような経緯をふまえ、本調査は今後のIT人材育成施策を策定するための基礎資料とすべく、IT人材動向及びIT人材の市場動向を変動させる要因(企業、大学及び行政の施策、景況感、他産業の状況等)の調査分析をおこないました。その結果に基づき、将来のIT人材市場動向の分析およびIT人材市場に関する問題(特に、IT人材の質の不足)について、現在考察をおこなっています。結果については「IT人材白書2009」に記載します。
■ 調査概要

「IT人材市場動向調査」では、以下の調査を行っています。今回公開する項目は、点線で囲まれた2項目です。

- No.1 -

1. 【IT企業向け】 IT人材動向調査
2. 【ユーザー企業向け】 IT人材動向調査

- No.2 -

3. 【教育機関向け】 情報系学生・教育動向調査
4. 【情報系学科卒業生向け】 情報専門学科カリキュラム評価

- No.3 -

5. 【学生向け】 情報サービス産業のイメージ分析調査
6. 【社会人向け】 他産業との就業満足度比較調査

- No.4 -

7. 【IT企業向け】 オフショア動向調査
8. 【ユーザー企業向け】 海外ITサービス利用動向調査

■ 調査結果(調査報告概要版より抜粋)

(1) 【学生向け】情報サービス産業のイメージ分析調査(継続調査)

 情報サービス・ソフトウェア産業が優秀な新卒人材を獲得する上で、就業先産業としての学生の間での“人気”は、人材の獲得に影響を与える大きな要因となっています。こうした状況をふまえ本調査では、大学3年生以上の学生600名を対象として、情報サービス・ソフトウェア産業に対するイメージや仕事に対する興味などを尋ねました。このようなイメージの分析により、学生が情報サービス・ソフトウェア産業をどのようにとらえているかを把握し、学生にとって“魅力的な”産業とするためには何をなすべきか、そのための方策について検討を行うための基礎情報とする目的で調査を実施しました。

* 産業のイメージ

* ここでは、様々な産業に対するイメージを尋ねた設問の結果を示す。
* 「技術やスキルが身につく」や「夢がある」という項目については、「IT・情報サービス・ソフトウェア」がトップとなった。学生は、これらの点では、「IT・情報サービス・ソフトウェア」産業を、高く評価しているとみられる。特に、「夢がある」については、「あてはまるものはない」という回答が多い中、「IT・情報サービス・ソフトウェア」が最も高い数値となっている。
* その他、「かっこいい」、「仕事にやりがいがある」などについても、「IT・情報サービス・ソフトウェア」産業は、比較的上位にあげられている。学生は、「IT・情報サービス・ソフトウェア」産業のイメージの良い面に対して、比較的高い評価を与えていることがわかる。
* その一方、「働いている人たちが自分の仕事に誇りをもっている」においては、「IT・情報サービス・ソフトウェア」産業は、それほど高い評価を受けていない。後述の「仕事がきつい」などの点において、「IT・情報サービス・ソフトウェア」産業よりも上位となっている「医療・福祉」業界は、「働いている人たちが自分の仕事に誇りをもっている」という点においても、「IT・情報サービス・ソフトウェア」産業を上回っており、産業に対するイメージの違いがうかがえる。
* また、「仕事の内容がわかりやすい」については、「IT・情報サービス・ソフトウェア」産業が、比較的下位にランクされる結果となった。ここまでの他の設問の結果も含めて、IT関連の仕事の「わかりやすさ」については、大きな課題が残されているといえる。
* さらに、産業界内部では、「IT・情報サービス・ソフトウェア」に対して、「給与が低い」とのイメージがもたれがちなのではないかとの懸念があるが、今回の調査結果では、「給与が低い」というイメージは、それほど強くないことが明らかになった。
* それに対して、「仕事がきつい」というイメージについては、「医療・福祉」の次に「IT・情報サービス・ソフトウェア」があげられており、この産業では“仕事が大変である”という認識が、学生の間に浸透している可能性がうかがえる。

図1:産業のイメージ(1/2)

図1:産業のイメージ(1/2)
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図2:産業のイメージ(2/2)

図2:産業のイメージ(2/2)
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* 図3は、図1,2の順位をレーダーチャートにマッピングし、代表的な産業別に比較した分析結果である。
* 産業別に比較すると、「IT・情報サービス・ソフトウェア」産業は、良いイメージにおいて非常に高く評価されている一方、「仕事がきつい」という点や「仕事の内容がわかりやすい」などの点について、順位が低くなっていることが俯瞰できる。
* 「IT・情報サービス・ソフトウェア」産業のイメージ全体を、さらに向上させるためには、今後、仕事の内容や仕事の誇りを、産業外部にも、積極的に伝えていくことが求められる。

図3:産業別のイメージ分析

図3:産業別のイメージ分析
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(2) 【社会人向け】他産業との就業満足度調査比較(新規調査)

  IT産業の業界イメージが低いことに対する背景には、産業における人材の就業満足度の問題が隠れている、との仮説をもとに、その検証を目的としたWEBアンケート調査を実施しました。検証を行うにあたっては、他産業の満足度を把握することが必要となるため、他産業で働く社会人も対象に含め調査を実施しました。

* 仕事の満足度に影響を与える要因

* 本調査の主題である産業別の就業満足度の調査結果では、IT関連産業においては、他産業よりも、仕事に対する満足度が低めであることが示された。(PPT資料「IT人材市場動向調査 調査報告概要版No.3」参照)
* ここでは、代表的な5つの産業に勤める社会人の、仕事の満足度に影響を与える要因(最大5つまで)を尋ねた設問の結果を示す。
* 仕事の満足度に影響を与える大きな要因は、最上位から順に、「給与」「職場の雰囲気」「労働時間」となっている。

図4:就業満足度に影響を与える要因(産業別)

図4:就業満足度に影響を与える要因(産業別)
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* 他業種と比較した給与(実態との乖離)

* 前述において、「就業満足度に影響を与える要因」としてあげられた「労働時間」や「給与」に対する、産業従事者の感じ方を示す。
* 図5に、業種別の平均年収を示す。このデータによると、IT業界の給与水準は、他産業と同様もしくは、やや高めであることが示されている。
* 図6は、「他業種と比べて給与が高いと思うか」というイメージ調査の結果である。IT関連産業は、全産業中、下から2番目となっている。しかし、図5のように、IT関連産業は、全産業の中では、平均よりも給与水準が高い産業であることを示す調査結果は多い。
* これを踏まえると、産業に従事する人材の認識は、実態と乖離が生じている。つまり、IT関連産業に従事する人材は、現実を実態よりもネガティブにとらえている傾向があるといえる。


図5:業種別の平均年収(平均年齢)

図5:業種別の平均年収(平均年齢)
(日経コンピュータ 2008年9月22日号「ビジネスパーソン3300人大調査」)
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図6:「他業種と比べて給与が高いと思うか」イメージ調査

図6:「他業種と比べて給与が高いと思うか」イメージ調査
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■ 「IT人材市場動向調査 調査報告概要版No.3」は、以下のURLをご参照ください。

 http://www.ipa.go.jp/jinzai/itss/activity/activity2.html#20090327

■ 今後の公表予定

* 「調査報告概要版No.4」の公表は以下を予定しています。
No.4 → 4月上旬頃
* 「IT人材白書2009」の出版は、5月中旬頃を予定しています。


* プレスリリースの全文は以下のPDFをご覧ください。
プレスリリース本文(250KB)プレスリリース本文(PDFファイル)

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