2009-03-27

メイテックグループ シニア技術者派遣

:::引用:::
■定年後の活躍の場広がる

 メイテックは、今年で創業35周年を迎える。定年は現在は60歳。登録型派遣では、派遣スタッフとして働き続けて定年を迎えることはまずあり得ない。これに対して、常用型派遣のメイテックは2003年度から派遣エンジニアの定年者が出始めた。定年者の人数は03年度1人、04年度1人、05年度3人、06年度1人、07年度7人、08年度8人の計21人だ。

 06年4月に改正高齢者雇用促進法が施行され、企業に60歳以降の継続雇用が原則義務づけられた。これに対応してメイテックは06年4月に全額出資子会社としてシニア技術者派遣会社のメイテックエクスパーツ(東京都中央区)を設立した。

 ◆勤務体系に柔軟性

 メイテックは常用型派遣だが、メイテックエクスパーツは登録型派遣システムを採用している。定年後は週3日、1日6時間勤務などフレキシブルな勤務体系で働きたいという派遣エンジニアの希望にあわせたためだ。メイテックを定年退職したエンジニアもメイテックエクスパーツに登録して派遣先企業で継続して働いているケースも多い。

 メイテックエクスパーツは、企業と提携してシニアエンジニアを派遣する各種サービス事業も開始している。顧客企業側が51%、メイテックエクスパーツが49%出資して派遣会社を設立し、定年退職したエンジニアを契約社員としてその派遣会社が雇用する共同出資型サービスなどさまざまなプランを用意している。

 定年退職したエンジニアの再雇用が難しくても、この方法だとメイテックグループの顧客企業などへの派遣も可能になり、雇用延長の機会を拡大できる。少子高齢化で定年後のエンジニアが活躍する場はますます増えることは確実だ。経験豊かなエンジニアの技術を社会に還元していくという意味も大きい。

 ◆正社員紹介も拡大

 定年まで勤める派遣エンジニアがいる一方、メイテックでは年間で派遣スタッフの6、7%が辞めていく。なかには派遣先に請われて正社員として転職するケースもある。西本甲介社長は「これは引き抜きに当たり、あまり好ましくない」と指摘する。ただ、現実問題としてメイテックを「卒業」していくケースは絶えない。そこで06年7月にエンジニア専門の人材紹介会社としてメイテックネクスト(東京都品川区)を設立した。

 メイテックで教育・研修を担当する米田洋取締役がメイテックネクストの社長を兼務。転職を考えているエンジニアに登録してもらい正社員エンジニアを採用したい企業を紹介する。職業紹介業の免許を取得し、事業を開始したのは同年10月からだ。「初年度は半年で8人、2年目は218人の正社員エンジニアを紹介した。08年度は400人を目標にしていたが、景気が急速に悪化した経営環境なので300人弱になりそうだ」(米田メイテックネクスト社長)と話す。

 今後は、メイテックの技術者派遣とメイテックネクストの技術者紹介の2つのビジネスモデルを有機的に活用してエンジニアに対して最適なキャリア支援ができる体制を整えていく方針だ。「メイテックを卒業して正社員になる人がいるが、一度正社員になってからメイテックの派遣エンジニアに戻る人もいる」(米田社長)と話す。

 機械系、電気系、システム系などエンジニアも職種が広い。どの分野に適性があるかをメイテックで派遣エンジニアとして働くことで見極め、その後にメイテックネクストで正社員エンジニアの職を紹介してもらうことも可能だ。派遣社員として、正社員として、さらには定年後までエンジニアとしてキャリアを積むことができるのが、メイテックグループの最大の強みといえる。(財川典男)

                  ◇

 ≪メモ≫

 連結子会社の日本ドレーク・ビーム・モリンが手がけていた再就職支援事業を2億8500万円でテンプスタッフへ譲渡することを決めた。譲渡日は5月1日。同事業ではエンジニア以外も対象となっていたが、経営環境が厳しさを増しているため、技術者の派遣・紹介に経営資源を集中させる。5拠点あった中国での技術者教育事業も広州と杭州の2拠点を休止。2拠点で教育した技術者は主に日本に派遣していたが、日本企業が中国人技術者を受け入れる余裕がなくなったためだ。
●●コメント●●

0 件のコメント: