2009-03-12

中国であいつぐ日本地名の登録、議論起こる

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日本でワインの産地として有名な山梨県勝沼町(甲州市)の名が、最近「山梨勝沼」として中国で商標登録を申請されたことは、甲州市側が問題として取り上げただけでなく、商標の知的財産権をめぐる中日間の議論へと発展している。中国では数年前にもリンゴの産地で有名な青森が商標登録され、日本側が強く異議を申し立ててから4年の歳月を経て、ようやく登録が抹消されたということがあった。日本の「中文導報」が伝えた。

 日本の地名、農産品、産地などが海外で商標登録されるという風潮に対処するため、農林水産省はこのほど農林水産分野の知的財産権保護活動を行うグループを立ち上げ、今年4月に活動を開始すると決定した。インターネットを通じた情報収集を行い、日本の農産品や地名などが海外で商標登録されていないかチェックする。また日本貿易振興機構(ジェトロ)の北京代表処知的財産権部も商標侵害トラブルの相談窓口を設置し、中国の「商標法」に対する日本側顧客の理解を助けるほか、商標登録の申請や訴訟・裁判に関する相談を受け付ける。

 2006年10月、上海在住のある中国人が「山梨勝沼」の商標登録を申請した。中国の商標局はすでに申請に対する審査を終え、4月20日から3カ月間にわたり公開の意見聴取を行う予定。各方面から異論が出なければ、中国側は商標登録を認める方針だ。だが山梨・勝沼は日本では知らない人がいない有名なブドウとワインの産地であり、これが中国で商標登録されると、山梨県や勝沼町の産業が中国に進出しようとする場合、知財権をめぐり莫大なコストがかかることになる。山梨県側はこの点を非常に懸念している。

 中国の商標法では誰でも知っているような有名な地名を登録することを一般的に禁止している。このため山梨県庁知事政策局は中国の国家工商行政管理総局商標局のサイトで今回の情報を確認した後、ただちに異議申し立ての根拠・証拠となる情報の収集を始めた。専門のチームを発足させ、山梨や勝沼に関する中国の報道を幅広くチェックしており、集まった情報をこれらの地名が中国で非常に有名であることの証拠とし、商標登録を防ごうというのが狙いだ。

 今回の件をめぐる中日間の駆け引きは続き、事態はなお決着していない。

 ジェトロ北京代表処知的財産権部が昨年6月に発表した統計データによると、日本の47都道府県のうちの27カ所と政令指定都市3カ所の名称が、中国での商標登録を申請されており、うち都道府県20カ所と政令指定都市1カ所の名称はすでに登録されている。

 申請を出された27都道府県は、青森、秋田、福島、長野、静岡、群馬、千葉、愛知、岐阜、三重、富山、石川、福井、京都、奈良、和歌山、広島、山口、香川、高知、徳島、愛媛、福岡、佐賀、熊本、宮崎、鹿児島で、このうち静岡、奈良、広島、香川、福岡、宮崎、鹿児島を除く20カ所がすでに登録されている。

 申請を出された3政令指定都市は川崎、名古屋、横浜で、うち川崎がすでに登録されている。

 このほか日本の有名な磁器「九谷焼」「美濃焼」なども中国で商標登録されている。日本の高品質なコメが中国に輸出されるようになると、「コシヒカリ」「あきたこまち」「ひとめぼれ」といった有名品種の名前が中国企業により商標登録された。すると日本のコメはこれらの名称の中国語表記(越光、秋田小町、人目惚)を使用できなくなり、「宮城産」「秋田産」「新潟産」などと表記するしかないという事態が起きている。

 日本の地名は大陸部だけでなく台湾・香港地域でも人気があり、商標登録をめぐる案件が絶えず起きている。日本ブームに沸く台湾では、日本の企業や商会が抗議行動を起こし、現地企業により商標登録された日本の地名を列挙して、台湾当局に取り締まりを求めたこともある。ジェトロは日本の地名の版権問題に注目するが、中国と日本では状況が異なり、意見を一致させることは難しい。日本では海外の地名を商標登録することは禁止されているが、中国では東京と大阪以外の日本の地名はすべて登録が可能だという。

 登録する中国の側からはこのような反論が寄せられる。日本で中国の商標が商標登録されたケースも少なくない。「狗不理」「龍井」「同仁堂」などだ。文化的にみて、同じ漢字文化圏に属し、ともに漢字を使用する中国と日本とでは、同じ商標が発生する可能性が高い。中国で日本の地名を商標登録するケースの大部分は、知識の乏しさに由来するものかもしれないが、悪意に基づく登録や、今後の発展を当て込んでの登録といった可能性も排除できない。市場経済の社会では商標ビジネスが盛んだ。個人や企業が海外の有名な商標を争って登録し、当該製品が中国市場に進出するのを待って、商標権を高値で売りつけて利益を得るといった行為もままみられる。
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