2009-03-12

「第4回高度情報通信人材育成に関する産学官連携会議」を開催

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日本経団連は4日、東京・大手町の経団連会館で、「第4回高度情報通信人材育成に関する産学官連携会議」を開催した。

同会議には、高度IT人材の育成に携わる産学官の関係者220名余りが参加し、企業、大学、政府それぞれがこれまでの取り組みについてレビューするとともに、今後、産学連携による実践的な高度情報通信人材育成の取り組みをわが国として安定的かつ継続的なものにし、全国の大学に普及・拡大し、高度な情報通信人材を質・量ともに確保できる体制を構築していくための方策について議論した。

冒頭、産業界側主催者を代表してあいさつした日本経団連情報通信委員会の石原邦夫共同委員長は、「日本経団連の重要協力校(筑波大学、九州大学)では、文部科学省の先導的ITスペシャリスト育成プロジェクトの支援を受けて2007年4月から、産学連携による高度情報通信人材育成コースを開講し、今年3月に産業界のニーズに合った人材が2年間の修士課程を終え、社会へ巣立つ予定である。同コースの学生は、企業の実システムを題材とした実践的プロジェクト型科目と企業から派遣された教授による体系的な指導により、協力企業の採用担当から『極めて実践的な学習をしており、修士課程1年次終了時点で入社2年後の会社員と同等以上』と高く評価されている」と述べた。

続いて政府主催者側から野田聖子内閣府特命担当大臣のメッセージが読み上げられた。同メッセージでは、「わが国のIT化を一層推進し、改革を力強く進めていく人材を質・量ともに充足するためには、社会経済のニーズに根ざした教育システムが必要である」ことが強調された。続いて学界主催者を代表し、情報処理学会の喜連川優副会長が、「ITのグローバリゼーションに対応するため、日本のITスキル認証制度を国際的に展開していくことも重要である」と述べた。

次に、日本経団連のこれまでの取り組みと今後のあり方について、情報通信委員会高度情報通信人材育成部会の重木昭信部会長から、両大学で実証された有効な教育モデルを広く他の大学へ展開するため、この産学連携による高度情報通信人材育成支援を発展・継続していく組織として特定非営利活動法人である高度情報通信人材育成支援センターを09年7月ごろに設立する計画について説明があった。

政府からは、内閣官房の南俊行内閣参事官、文部科学省高等教育局の藤原章夫専門教育課長、総務省情報通信政策局の安藤英作情報流通振興課長、経済産業省商務情報政策局の八尋俊英情報処理振興課長が、それぞれ高度情報通信人材育成施策に関する進捗の説明を行った。

会議後半では、産学の代表によるパネルディスカッションが行われ、筑波大学、九州大学、名古屋大学から、産学連携による大学変革の試みとして「教員の研究より産業界ニーズにあった実践的教育を優先した」「高度情報通信人材育成コースを来年度以降の正規コースとして制度化を図った」との紹介があった。その上で、現在の取り組みを加速化するためには、産学官ともに社会ニーズに合わせ自律的に改善していく姿勢と国際競争力強化のために長期的に財政・支援体制を集中させたナショナルセンターが必要であることを確認した。

閉会のあいさつで重木部会長は、産学官の関係者の思いは一致しており、産業界では、ナショナルセンター実現までの間、産業界の高度情報通信人材育成支援を継続・発展していくため、支援センターを設立し、将来的に産学官の集うナショナルセンターを実現の際には、同支援センターの機能を移管していくことをめざすと述べた。
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