2008-12-17

不況響き募金減少被災者ら「観光化」に困惑 ルミナリエ閉幕

:::引用:::
阪神大震災の犠牲者を追悼する「神戸ルミナリエ」が15日夜、閉幕した。期間は昨年と同じ12日間だったが、景気低迷などの影響で来場者は12年ぶ りに400万人を割ったほか、会場募金の減少や企業協賛金の落ち込みも見込まれるため、収支は3年ぶりの黒字から一転、赤字となる可能性が出てきた。継続 開催を求める声は根強い一方、観光イベント的な色彩が濃くなる現状に違和感を覚える被災者も少なくない。震災から14年を前に、ルミナリエが揺れてい る。?(佐藤洋平)?

       ■不況直撃

 県や神戸市でつくる組織委によると、来場者は過去14回で2番目に少ない約376万人(昨年約404万人)。不況の影響で他府県からの観光バス は、昨年の1665台から1532台に減った。会場の「1人100円募金」は約7748万円で、組織委が目標にした昨年の約8684万円を下回った。

 開催経費には、作品製作費や警備費などで年間約5億5000万円が必要だ。半分以上は企業協賛金で賄われ、昨年初めて実施した「100円募金」が奏功し、3年ぶりに約2300万円の黒字となった。

 しかし、長引く不況に企業協賛金が過去最低となる公算が大きいため、組織委は「収支はぎりぎりになる見通し」と予測する。

       ■ジレンマ

 会場となった神戸市中央区の旧居留地や東遊園地は、デジタルカメラや携帯電話で記念撮影をする人であふれ、多くの露店が軒を連ねた。震災犠牲者の追悼という本来の趣旨から離れ、観光色が強まる傾向に戸惑う声もある。

 震災で親類を亡くした西宮市の男性(62)は「当時を知らない人からすればクリスマスのイルミネーションかもしれないが、被災者にとっては鎮魂の灯(あか)りで、特別な思いがある」と複雑な表情を浮かべる。

 組織委は昨年に続き、期間中は東遊園地の「慰霊と復興のモニュメント」の開場時間を約5時間延長。案内板を設置するなどして、震災復興の取り組みをPRしたが、大きな集客にはつながらなかった。

       ■来年以降

 組織委は来年以降の開催について、「最終判断は来春だが、12日間の開催をこれまで通り続ける方針は変わらない」と強調。昨年会場で行われたアンケート調査でも96%の来場者が継続開催を望んだ。

 市幹部も「これだけ集客力のあるイベントは、神戸ではほかにない。取りやめにすることはできないだろう」と打ち明ける。

 慢性的な資金不足に加え、被災者の思いと観光的要素をどのように両立させるか。主催者側に突きつけられた課題は重い。

2008年12月17日 読売新聞)

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