2008-12-19

IT技術者に決算書の知識はどのくらい必要?

:::引用:::
IT系の展示会や講演を取材していると,金融関連の話題が多いことに気付きます。先日の「ITpro EXPO 2008 Autumn」でもIFRS(国際財務報告基準)に関する講演がありました(関連記事)。IT技術者も,金融や財務に関する話題を避けて通ることはできなくなっているのでしょうか。

 そこで,今回の「記者のつぶやき調査編」では,財務の基礎である決算書の知識がIT技術者にどの程度求められているのかを調べるべく,「IT技術者に必 要な決算書の知識」についてアンケート調査を行いました。12月の第1週目にITpro Researchモニター会員を対象にアンケートを実施したところ,1166人のIT技術者の方から回答をいただきました。

仕事に決算書の知識が必要な人は65%

 そもそも,IT技術者にとって決算書の知識はどのくらい必要なのでしょうか。そこで,「あなたの仕事に決算書の知識が必要ですか」とお伺いしたところ,「必須」「ある程度必要」「少し必要」と答えた人は全体の65%に上りました(図1)。半数以上のIT技術者が,決算書の知識が必要な仕事をしていることになります。個人的には,IT技術者には理系のイメージがあるため,ここまで多いのはやや意外でした。

図1●決算書知識の必要性(有効回答者数1161人)
図1●決算書知識の必要性(有効回答者数1161人)

 職種別に見ると,「必須」と答えた人の割合が最も多かったのは「ITコンサルタント」,2番目は「プロジェクト・マネージャー」でした(図2)。 また,SEでは約5割が「必須」「ある程度必要」「少し必要」と回答しています。企業経営戦略を考えたりするITコンサルタントや,プロジェクトの開発や 運用コストを気にしなければならないプロジェクト・マネージャーに決算書の知識が求められるのはもっともな気がしますが,開発や運用の現場に近いSEの仕 事でも必要な場合が多いようです。

図2●職種別に見た決算書知識の必要性(カッコ内は有効回答者数)
図2●職種別に見た決算書知識の必要性(カッコ内は有効回答者数)

 これらの職種の人たちが具体的にどのような場面で決算書の知識が必要になるかを質問した結果(複数回答)が図3です。

図3●決算書の知識を使う場面(カッコ内は有効回答者数)
図3●決算書の知識を使う場面(カッコ内は有効回答者数)

 ITコンサルタントは「顧客の経営状況を知るため」「業界動向を知るため」,プロジェクト・マネージャーは「システム設計のため」「顧客の経営状 況を知るため」,SEでは「システム設計のため」が上位を占めています。ここまでは予想通りですが,SEの3~4割程度が「顧客の経営状況を知るため」と 答えており,技術畑の人たちも決算書を活用している様子がうかがえます。


学校では教えてくれない決算書

 多くのIT技術者が決算書に関わりを持っているようですが,彼ら彼女らはどうやってその知識を習得したのでしょうか。というのも,私自身の経験では小学 校から大学(理系)までの授業の中で,決算書について教わった記憶がないからです。私の場合は社会人になってから必要に駆られて本を読みました。IT技術 者の皆さんはどうしたのでしょうか。回答は図4のとおりです。

図4●決算書に関する知識の習得方法(有効回答者数748人,複数回答)
図4●決算書に関する知識の習得方法(有効回答者数748人,複数回答)

 やはり,学校で教わった人は135人(全体の18%)にとどまりました。書籍や雑誌,Webサイトを利用して独学した人は554人(74%),勤務先の OJTや研修で習得した人は325人(43%)でした。その他の中には,システム開発や保守の仕事を通じて「現場」で習得した,簿記などの「資格取得」を 通じて知識を身につけたという回答がありました。

 最後に,今のところ仕事に決算書の知識は「まったく必要ない」と回答した人に,将来はどうなると思うか尋ねてみました。その結果が図5で す。「今後も必要ない」と言い切った人は4分の1程度でした。45.4%が「今後は必要になる」と考えており,いずれは決算書に関する知識が必要になるだ ろうと意識している人が多いことがわかります。一方で「わからない」と回答した人が約3割もいました。IT技術者にとって,決算書をはじめとする財務や金 融の知識とはいつまでも無縁でいられる訳ではなさそうです。ITproの「ITpro SkillUP」にも会計などを学べるeラーニングがあります。ご活用いただければ幸いです。

図5●今後,仕事に決算書の知識が必要になるかどうか
図5●今後,仕事に決算書の知識が必要になるかどうか

■変更履歴
記事公開当初,図3の「決算書の知識を使う場面」の数値に誤りがありました。SEが決算書の知識を使う場面の回答数を「製品開発のため」が182人,「シ ステム設計のため」が80人としていましたが,正しくはそれぞれ60人,182人です。同様に,他の項目も実際の数値と凡例にズレが生じていましたが,す べて正しい数値に修正いたしました。またこれに伴い,本文の記述も修正いたしました。お詫びして訂正します。現在は図3,本文とも正しい数値です。 [2008/12/18 20:50]
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