自宅で暮らす高齢者や家族には、介護保険制度の訪問介護は安心のよりどころ。その必要性は一年三百六十五日変わらないが、年末年始は介護現場の人材不足が大きく影響する。緊急時の対応など確認しておきたい。 (飯田克志)
年末年始、訪問介護事業者でも休業するところは少なくない。「今月三十一日から一月四日までは休み。でも、独り暮らしで食事やトイレが一人でできない八人は、私を含め四人がサービスに入る」。川崎市内で活動する事業者のサービス提供責任者の女性は、実情をこう説明する。
介護を受けなければ生命にかかわる高齢者に限定。それぞれが一日三、四回の訪問が必要なため、介護も必要最低限にして、時間を短縮して対応する。
通常は、利用者約九十人をヘルパーら三十七人(うち正社員四人)で訪問介護する。ただ、ヘルパーの多くが家庭を持つ女性のため、年末年始は休みを 希望。介護保険制度にはない、年末年始の手当も独自に支給するが、この女性は「九月ぐらいから『今年はお願い』と声を掛けて、何とか確保している」と話 す。
東京都渋谷区を中心に訪問介護を実施するコスモスヘルパーステーションの遠藤幹江社長(66)は「私たちも生身の人間、休みは必要。でも、命の番 人だから、年末年始は行きませんとは言えない」と話す。正社員が大半の同社は今月三十日から一月三日までを休みとしているが、介護が欠かせない利用者だけ でなく、要介護度の低い高齢者も回数を減らすなどして介護する。
大手のジャパンケアサービス(豊島区)やニチイ学館(千代田区)は、通常通りにサービス提供する予定で、特別手当も支給する。ジャパンケアサービスは「パートの人が休む傾向があり、正社員中心のシフトにする」(経営企画室)。
高齢者と事業者をつなぐケアマネジャーも年末年始の手配で、担い手不足をあらためて痛感している。神奈川県内で勤務するケアマネジャーの男性 (39)は「十月からショートステイとか、あの手この手を考えていて、申し訳ないけれど介護ができる家族がいる方は家族に頑張ってもらう。人の手当てがつ かないときは私が行く」と苦しい選択をしている。
同県内の事業所で働く女性ケアマネジャーは「圧倒的にヘルパーが少ない。地域で見守りができればいいけれど、実際は難しい」。同県内の別の事業者 の男性ケアマネジャーは「利用者も状況を知っていて、『ヘルパーさんいないでしょう。年末年始はいいわよ』と、遠慮される方もいる」と明かす。
非常勤のケアマネジャーでもある淑徳大学の結城康博准教授(社会保障論)は「高齢者が増えニーズが増加しているのに人手は不足。それが年末年始に露骨に出てくる。これは制度上の問題」と、介護従事者の待遇など一層の制度改善が不可欠と指摘する。
その上で、年末年始の緊急時の対応で利用者側の心構えもある。結城准教授は「ケアマネジャーにまず相談して、緊急連絡できるよう連絡先も再確認し てください。事業者や地域の相談窓口の地域包括支援センターに『何かあったらお願いします』と事前に相談しておくのも手。以前、緊急対応として病院に入院 させたこともある」とアドバイスする。
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